この夏、少し前だが日本経済新聞にあった「良品計画、5年ぶり減益 人件費増が重荷」(2019年7月11日付)の見出しが気になっていた。
記事は、「生活雑貨店『無印良品』を手がける良品計画が10日発表した2019年3~5月期連結決算は、純利益が前年同期比31%減の65億円だった。人件費などの費用増が響いた」とあった。
「良品計画」は以前から「ぜひ」と狙っていたが、高くて手が出ない。そんな銘柄だった。
ホテルに海外事業、「先行投資」おおいに歓迎!
その記事によると、良品計画は衣料や食料品が好調で国内外ともに増収は確保したものの、営業利益は22%減の103億円。「4月に東京・銀座に開いた基幹店など、新規出店に関わる費用が増加したほか、採用増に伴い人件費が膨らんだほか、物流業界の人手不足を背景にした運搬・配送費の上昇も重荷となった」とあった。
つまり、減益の主たる要因は、先行投資だ。銀座ホテル出店・拡大に伴う人員増のコストと物流コストにある。
売り上げは、国内や中国、インドと好調。国内は「ホテル事業」のように、新しい事業を展開している。一方、海外では、中国やインドの巨大市場で積極展開しているほか、欧州でのブランド力を強化しており、2019年秋にスイス、フィンランドにも初出店を計画する。こうした海外出店費用も先行投資だ。
そんな良品計画が、9月に株式を分割する。
前回「良品計画」に着目して、記事を掲載したのは2017年10月。そのとき(10月13日)の終値は3万3200円だった。8か月後の2018年6月に、4万1200円の高値をつけた後、下げに転じ、8月16日現在1万7860円にまで下げてきた。現在の株価は、ちょうどその時の高値の半分(43.3%)になっている。
前回は株価が332万円と高くて手が出ない状況だったことで、株価が上昇しても、さほど気にならなかった。しかし、株式分割で「手が出せる」銘柄に入ってきたのだ。事態が変わった。
株式分割の発表で、9月から1単元100株を18万円前後で取得できるようになる。9月1日以降に向けて、本格的に取得を考えている。
そこに舞い込んできた「減益」の記事だった。
株式分割後の株価に注目したい
とはいえ、投資判断はズバリ、「買い」と決めている。
会社四季報「業界地図(2019年版)」の小売店のページには、「消費者の購買行動の変化に対して、店舗網や商品構成を柔軟に対応させていけるかが、各社の明暗を分けている」と、結んでいた。良品計画は、その「柔軟な対応」ができていると考えている。それが「先行投資」に現れていると。
今回の減益要因がハッキリしているうえ、株価も買いたい人にとっては幸い安値圏にある。売り上げ好調で、マイナス要因も織り込まれている。減益要因が明確で納得の行くものであれば、現在の株価は「買い」。
株式分割は8月31日時点の株主に対して、1株を10株に分割するという。このような状況の場合、これまでの経験からしても買い材料と判断している。
株式投資の格言に、「高値の半値、8掛け、2割引」という諺がある。これは「天井を付けた後、下落局面に入った時に、底の水準を判断する目安とされる相場」の格言。根拠は定かでないが、高値×0.5×0.8×0.8=0.32で3分の1程度まで下げるというものだ。
今回は高値4万1200円の半値、いや8掛けの1万6480円あたりが底値ではと読んでいる。8月19日には年初来安値を更新して、1万7650円を付けた。そろそろ、買おうと考えている。
2019年8月19日現在 保有なし
年初来高値 2019/4/1 2万8810円
年初来安値 2019/8/19 1万7650円
直近 終値 2019/8/19 1万7910円