米国で12年ぶりに「景気後退のシグナル」とされる、10年国債と2年国債の金利が逆転する「逆イールドカーブ」が発生して、米ニューヨーク株式市場のダウ平均株価は2019年8月14日に大きく下げた。これを受けて日経平均株価も下げたものの、2万円を割り込まず、底堅く推移した。米国経済の減速懸念が広がりやすいなか、米株式市場が落ち着いてくれば、日経平均株価も上向く機会が出てきそうだが......。
米国経済が揺るがす、株式と外国為替。どうなる? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 上値が重い展開か
日経平均株価予想レンジ:2万円~2万800円
2019年8月16日(金)終値 2万418円81銭
今週の日経平均株価は、戻りを試す展開が期待されるものの、上値が重い展開となりそうだ。
前週の日経平均株価は、3週連続の下げとなった。米中貿易摩擦に対する懸念や米国の長短金利の逆転が、世界経済の減速への警戒感につながり、米ニューヨーク株式市場でダウ平均株価が大幅下落したことを受け、日経平均株価も下げ足を速めた。
今週の日経平均株価は、3週連続の下落からの自律反発が期待できそうだが、強い買い材料もなく、上値も重い展開となりそうだ。
米国の10年国債と2年国債の金利が逆転する「逆イールドカーブ」が12年分ぶりに発生した。逆イールドカーブは、「景気後退のシグナル」と言われていることから、米国を中心に世界景気の後退懸念が高まっていることも、日経平均株価の上値を重くしそうだ。国内企業の決算がほぼ出尽くしたことも、手がかり材料難につながっている。
東京外国為替市場 「ドル買い」材料に乏しく
ドル・円予想レンジ:1ドル=104円50銭~107円50銭
2019年8月16日(金)終値 1ドル=106円36銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、ドルの下値を固める展開となりそうだ。
前週のドル円相場は、ドル安・円高の動きが加速。一時1ドル=105円割れ直前の1ドル=105円05銭までドルが下落した。米中貿易摩擦への懸念や、米国の長短金利の逆転が、リスク回避のドル売りにつながった。
今週のドル円相場は、ドルの買い材料に乏しく、ドル弱含みの展開が予想される。ただ、ドルを大きく売り込む手がかり材料にも乏しく、ドルの下値を固める動きとなりそうだ。
引き続き、米中の貿易摩擦関連に注目が集まるが、加えて、米国の長短金利の逆転により強まった米国の景気減速懸念に関連し、米国の経済指標やFRB(米国連邦準備制度理事会)当局者の発言などに注意が必要となる。特に、8月22日から24日まで米国カンザスシティー連銀が主催するワイオミング州ジャクソンホールで開催される経済シンポジューム(ジャクソンホール会合)では、23日にパウエルFRB議長が講演を行う予定で、加えて、各国の金融当局者の発言も予想されるため注目だ。
経済指標は、国内では19日に7月の貿易統計、21日に7月訪日外客数、23日に7月消費者物価などが予定されている。
米国では、21日に7月の中古住宅販売件数、7月30日・31日のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨、22日に7月CB景気先行総合指数、23日に7月の新築住宅販売件数などの発表を予定。なお、24日から26日までフランスでG7首脳会議が予定されている。
(鷲尾香一)