「吉本興業×政府」の深謀遠慮?
現在、先進国の中で日本のSDGs達成度は15番目であり、大きく出遅れています。その原因の一つとして、広く国民に伝わっていないことがあげられます。
一方、内閣府のアクションプランにおいて、SDGsは大きなウェイトを占めています。経済大国・日本が持続可能な開発目標に対して遅れをとっていることは、国際社会から後ろ指を刺されることにもなりかねません。
なんとか認知度を上げようとして白羽の矢が立ったのが、吉本興業の「お笑い」の力です。
ところが、闇営業問題から派生したさまざまな問題が表面化したことで、疑問が生まれてきました。
SDGsの「17の目標」は、地球温暖化や環境破壊、ジェンダー、労働・働き方、子どもの教育などへの事業を通じての対策、社会貢献活動があります。現在、ビジネスの世界においてSDGsに取り組むことが企業のイメージアップには欠かせないものであり、「ESG投資」(環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資のこと)などを通して、株価にも影響を与えています。
政府の「おかげ」で、吉本興業には「SDGsに取り組む企業=いい会社」、CSR(企業の社会的責任)にしっかり取り組んでいるというイメージがつきました。
その一方で、岡本昭彦社長の会見後、いろいろな問題が噴出しています。ガバナンスはどうなっているのだろうとWEB検索したところ、2010年に上場廃止となって以降、CSRレポートや財務内容などは公表されていませんでした。
しかし、それはガバナンスやコンプライアンスをないがしろにする、不透明であり、不健全な会社経営の始まりだったのかもしれません。上場廃止により、反社会的勢力や投機家に株式を持たせないことで経営の安定化を図り、厳しい情報開示が不要になったことで、経営陣の思いどおりの会社運営が進められると考えたようにも思えます。
さらに、上場廃止時の株主比率を見ると、テレビ各局、広告代理店の合計が50%を超えています。この時から吉本興業はテレビ局を中心とするメディアと密接な関係ができ上がり、これまでの、記者会見で泣きながら宮迫博之さんらが語ったテレビ局との「ズブズブの関係」は、おそらくは現在も続いているのでしょう。