この欄で少し前に「サブスクリプション2.0 衣食住すべてを飲み込む最新ビジネスモデル」(日経クロストレンド)を紹介したが、それより少しあとの刊行である本書「サブスクリプション 製品から顧客中心のビジネスモデルへ」(KADOKAWA)によれば、現代の「サブスク」のバージョンはもう「3.0」にアップデートされているらしい。
最新バージョンでは、デジタル化の初めのころにトレンドから置き去りにされたアナログ頼みのモノやサービスが、ITあるいはICTの進化で時代にキャッチアップ。単品売り切りの「アラカルト」から、継続サービスのサブスクにビジネスモデルを替えて息を吹き返している。
「サブスクリプション 製品から顧客中心のビジネスモデルへ」(雨宮寛二著)KADOKAWA
アラカルトからリカーリングに
「サブスクリプション」は、もともとは新聞や雑誌などの「購読予約」のこと。広くは「利用する期間に応じて料金を払うシステム」であり、牛乳の定期宅配、公共料金、固定電話などが含まれ、近年では携帯電話や有料テレビ放送などもサブスクのサービスに数えられる。これら従来型のものは「レガシー・サブスク」と呼ばれるなど、遺産的存在だ。
事業者にとってサブスクは、継続的に収益をもたらす「リカーリング」モデルのビジネスであり、売り切りのワンショット販売(アラカルト)から転換することで、財務的な安定基盤をもたらすことになる。新聞や雑誌を、毎日、あるいは毎週、毎月買ってもらえるとは限らないが、定期購読なら、その都度の売れ具合を心配する必要がない。