【日韓経済戦争】耐えるしかない日本企業の無念 ユニクロ、サッポロ、ホンダ、トヨタ、無印良品......

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   日韓経済戦争が底なし沼状態に入って1か月余り、現地の日本企業の被害状況が次第に明らかになってきた。

   しかし、日本企業はひたすら忍耐を続けるだけ。うかつに口を滑らすとユニクロのように閉店に追い込まれるからだ。韓国紙の報道から日本企業の無念を読み解くと――。

  • 破壊されて路上で展示されたトヨタ・レクサス(7月24日放送のニュース専門テレビ局「韓国YTN」の動画より)
    破壊されて路上で展示されたトヨタ・レクサス(7月24日放送のニュース専門テレビ局「韓国YTN」の動画より)
  • 破壊されて路上で展示されたトヨタ・レクサス(7月24日放送のニュース専門テレビ局「韓国YTN」の動画より)

発注量が皆無のサッポロは従業員に「無給休暇」

   サッポロビールが深刻な事態に陥っている。朝鮮日報(2019年8月9日付)「サッポロビールの韓国内流通業者、無給休暇検討」がこう伝える。

「日本のビール『サッポロ』と『ヱビス』を韓国内で流通させている酒類卸売業者m's beverage(エムズ・ビバレッジ)が全従業員を対象に『無給休暇』を検討している。日本製品不買運動の影響で売り上げが急減したためだ。同社は8日、全従業員64人を対象に無給休暇説明会を行った。同社関係者は『先月(7月)以降、発注量が皆無の状況。従業員の同意を求めた上で無給休暇制を導入する方針だ』とした」

   仕事が少なくなって週5日制から4日制に変えるが、増えた休日の分は「無給にしてくれ」と従業員に同意を求めたのである。

   ユニクロや無印良品もピンチに陥っている。聯合ニュース(8月9日付)「ユニクロ・無印良品のアプリ利用者急減 不買運動のあおりで」によるとこうだ。

「カジュアル衣料品店『ユニクロ』など日本のブランドが韓国でサービスするモバイルアプリの利用者数が急減している。アプリ分析を手掛ける韓国のIGAワークスによると、ユニクロアプリの7月の月間利用者数は51万440人で、前月の72万1472人に比べ29%減少した。1日当たりの利用者数では下落幅がさらに大きく、前月比で40%減となった」
「生活雑貨店『無印良品』のアプリ利用者数も大きく減っている。7月の利用者数は4万2713人で、前月に比べ41%も減少した。1日当たりの利用者数でも44%減少した。ユニクロは一時、韓国市場で飛ぶ鳥を落とす勢いだったが、不買運動の直撃を受けている。韓国のあるデパートでは出店するユニクロの7月の売上高が前年同月比30%減少したとの集計もある」

ホンダとトヨタが4割減、ホンダは中古車も悪化

   一方、自動車業界はどうか。特にホンダとトヨタの被害が大きいようだ。中央日報(8月6日付)「韓国で好調だった日本車、7月の販売32%減少」は韓国輸入自動車協会の最新の調査結果をこう伝えている。

「日本車の販売がくっきりと減った。6月に比べて32%減った。トヨタは38%、ホンダは42%、日産は20%、それぞれ減少した。上半期(今年1~6月)に日本車は昨年より10%以上売れ、輸入車の中では善戦した。その後7月に入り、突然落ち込んだ格好だ。業界は『ボイコットジャパン』の影響を受けたと分析した。韓国トヨタ関係者は『自動車販売は多様な要素が影響を及ぼす。必ずしも韓日間の問題のためだとは言いにくい』と話した」

   韓国の日本企業は、不用意な発言をして韓国消費者を怒らせると、閉店に追い込まれたユニクロの例があるので、日韓問題には口をつぐむのである。

※参考「日韓経済戦争」ルビコン川を渡った安倍首相に韓国どう出る? すでにユニクロ閉店、ビール6割減

   一方、ほかの国からの輸入車は好調だった。

「日本車を除いた他の輸入車の販売台数は増えた。日本車を除いた18ブランドの輸入車販売台数は6月より8.7%増加した。メルセデスベンツが10.8%、BMWが14.1%、ミニが50.5%、プジョーが37.3%、ポルシェが86.5%、シトロエンが57.3%など明確に増加した。7月に日本車が減った分を他の輸入車が持っていった形だ」

   中古車市場でもなぜかホンダの落ち込みが目立つ。中央日報(8月7日付)「中古市場の日本車増えたが消費者の関心は急降下」が伝える。

「中古車検索サイト『SKエンカー・ドットコム』によると、7月に同社に登録された日本車ブランドの車両登録台数は全ブランドとも前月より増加した。ホンダが前月より40.2%増加と増加幅が最も大きかった。トヨタは32.2%増、日産が32.1%増」

といったあんばいで、日本車の新規登録は全体的に好調だったのだ。ところが、消費者の関心度(照会数)が後半大きく低下したというのだ。

「日本車ブランドの照会数は前月に比べ平均18.1%減少した。ホンダに対する関心度は22.9%低下し、最も大きく下がった。SKエンカー事業総括本部のパク・ホンギュ本部長は『輸出規制問題が起きて以降、日本車に対する問い合わせや照会が減少する一方で、新規登録台数は増えている。このような状況が続けば、すぐに価格相場にも影響を及ぼす』と話した」

   日本車のボイコット運動により日本車を手放す動きが加速し、中古市場に流れている。日本の中古車が増える一方、買う人が減っているため、日本中古車の大暴落が起きるかもしれないというわけだ。

「このボールペンは国産」と放送したキャスターに批判殺到

   しかし、韓国国民のすべてが「日本製品のボイコット運動」の熱に浮かされているわけではない。中央日報(8月6日付)「ニュース中に『これは国産ボールペン』」は、ボイコット運動が引き起こす喜劇をこう伝えている。

「『放送中、私が持っているこのボールペンは日本製ではないかという視聴者の抗議の電話が来ました。このボールペンは国産です。9時のニュースは以上です』。これは8月4日夜、KBS(編集部注:韓国公共放送公社)のメインニュース『ニュース9』のキャスターがニュースを読み終えた後に言った言葉だ」

   KBSは、このコメントが視聴者にウケたと思ったらしく、翌朝、「『このボールペンは国産です』KBSニュース初の締めくくりの言葉が登場した事情」という見出しで、これを肯定的に紹介するインターネット記事を出した。

「すると、1000件を超えるコメントが寄せられた。『日本人と結婚した人はみんな離婚しなければならないのか』『高価な医療機器の90%は日本製だ。(キャスターは)手術も受けるなよ』など、ほとんどが冷やかしだった。『そのニュースを撮っているカメラはどこの製品だ』というコメントもあった。KBSの撮影カメラはソニー製だと言われている」

   記事では、調子に乗るとしっぺ返しをくう例を他にも紹介している。特にヤリ玉にあがっているのは、日本製品ボイコットをあおる文在寅(ムン・ジェイン)政権や与党・共に民主党幹部らへの批判だ。

「SNS上では5日、政権高官らの『日本製自動車保有状況』表が飛び交った。康京和(カン・ギョンファ)外交部長官ら多数の高官が日本車を持っていたという内容だった。(中央日報の)確認の結果、この表はおおむね事実だった」

   共に民主党のイ・ヘチャン代表が、食事をする時に日本酒を飲んでいることもSNSで暴露されるありさまだ。

「韓国セブン-イレブンは日本企業ではありません」

   こうした日本製品ボイコット運動で、韓国企業もとんだトバッチリを受けている。中央日報(8月5日付)「日本製品不買運動、韓国企業は戦々恐々」が伝える内容はマンガチックだ。

「韓国3位のコンビニブランド、セブン-イレブンを運営するコリアセブンは8月1日、加盟店経営者に『コリアセブンは大韓民国の企業です』と題する告知文を送った。『セブン-イレブンは日本企業だ』という顧客の抗議で店主らが困惑していることを受け、会社レベルで説明資料を配布した格好だ」

   コリアイレブンはロッテグループが株式の80%を保有する韓国企業で、日本のセブン-イレブンと資本上直接の関係はないが、不買運動で約9700人の加盟店主が被害を受けかねない状況だという。

   また、不買運動をすべき日本製品を共有する「ノーノージャパン」サイトには、「0.01%まで日本産原材料を見つけ出す」とあるからたまらない。

「食品大手のオトゥギはインスタントご飯の容器の一部に日本製を使用したことで不買運動の対象リストに上った。東遠はインスタントご飯の味を改良するために入れた酸素吸収剤の一部が日本製で、CJ第一製糖のカップご飯は添加物の一部が日本製だ。食品メーカー関係者は『不買運動の対象にならないため、一部の日本製原材料を国産品に切り替える作業を進めている』と説明した」

   膨大な原材料リストを再点検する大変な作業である。

(福田和郎)

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