【日韓経済戦争】危険水域に 奥の手「放射能汚染」と「竹島」で報復する韓国

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   「日韓経済戦争」は文在寅(ムン・ジェイン)政権与党側が「日本経済侵略対策特別委員会」を設けるなど、「侵略」と受け止める危険な段階に突入した。

   そんななか、日本への旅行ボイコット運動が過熱しているが、韓国政府がその理由の一つに「日本は放射能に汚染されており、国民の健康を脅かす」ことをあげているというから驚く。いったいどういうことか。韓国紙を読み解くと......。

  • 日本旅行の代わりに「竹島(独島)観光」と伝える聯合ニュース
    日本旅行の代わりに「竹島(独島)観光」と伝える聯合ニュース
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「東京の公園の放射能は基準値の4倍」

   聯合ニュース(2019年8月6日付)「日本への旅行制限も検討 韓国外交部」はこう伝えている。

「韓国外交部のキム・インチョル報道官は6日の定例会見で、与党・共に民主党が日本への旅行制限措置の必要性を示したことについて、『旅行警報関連措置も検討していく』と明らかにした。共に民主党の日本経済侵略対策特別委員会は外交部に対し、放射性物質の検出などで国民の安全を脅かす恐れがある日本への旅行を制限する措置を検討するよう要請していた」
「(すでに)外交部は5日から日本を訪問する国民の携帯電話に、日本内の嫌韓集会・デモがある場所への訪問を控え、身の安全に注意するよう呼びかけるメッセージを送っている」

   政権与党が「日本旅行には放射能汚染の危険がある」と指摘したことを受けて、政府も国民へアピールしていくというのだ。じつは、放射能に関する与党議員の「トンデモ発言」にはこんな伏線があった。

   朝鮮日報(8月6日付)「韓国与党議員『東京の放射能は基準値の4倍』として渡航禁止を求めるが、東京都内の公園、放射能濃度はソウルと大差なし」がこう伝える。

「共に民主党のチェ・ジェソン議員は5日、あるラジオ番組で『最近は東京で放射性物質が基準値の4倍以上検出されている』と発言した。これが事実であれば、東京への旅行は自制どころではなく、禁止しなければならない」

というわけで、朝鮮日報の記者が確認したところ、チェ議員の発言は日本のあるブログが先月(7月)東京都内の公園で土壌の放射能を測定した数値を引用したものとわかった。

   ブログによると、ブログ主が公園内の15か所を掘り起こしたところ、4か所で基準値(4万ベクレル)を超え、ある場所では最大で7万7000ベクレルを記録、基準値の約2倍に達した。11か所では基準値を下回っていたという。

   そこで、朝鮮日報の記者は、韓国の大学の原子力学科教授や日本原子力規制委員会の専門家らを精力的に取材した結果、東京の大気中の放射線量はソウルとほぼ同じレベルで、「何の異常もないレベルの濃度」という結論を得たという。

得意の「放射能汚染検査」の武器を食品以外にも

   まずは、ひと安心というところだが、ここへきて「放射能汚染検査」を持ち出して日本からの輸入物を規制し、報復する動きが加速しそうだ。韓国経済(8月6日付)「韓国、日本産石炭灰の放射能の検査強化」は、こう伝えている。

「韓国政府が石炭火力発電の廃棄物である日本産石炭灰を輸入する際の安全検査を大幅に強化することを検討する。日本が韓国を輸出手続き優遇対象のホワイト国から除外することを決めてから、韓国政府の具体的な初の正面対抗措置と分析される」
「環境部は5日、『石炭灰を含む日本産放射性廃棄物輸入に対する検査を強化することを検討している』と明らかにした。現在サンプリング方式で行われている日本産石炭灰に対する放射能と重金属検査を全数調査に変え、通関を厳しくするなどの案が有力に議論されている」

   日本では、石炭灰は年間1280万トン(2017年)に達し、韓国はこのうち10%を輸入しセメントの原料として活用してきた。日本としては、埋め立て費用を節約できるうえ、環境汚染も避けられる「儲かる商売」だった。だが、それもふいになり、日本の石炭火力業界は大きな痛手を受ける。環境部はさらに、廃プラスチックなどほかの日本産廃棄物輸入規制も検討しているという。

   じつは韓国にとって、「放射能汚染検査」は日本に対抗する「得意の武器」である。2011年3月の福島第一原発事故後、韓国は放射能汚染を理由に福島や岩手など8県産の水産物の輸入を禁止。さらに水産物以外の日本産食品の検査を強化するなど規制を広げている。

   日本は規制の撤回を求め、2015年にWTO(世界貿易機関)に提訴したが、今年4月、日本側の敗訴が確定した。韓国は日本への報復に、この「奥の手」を日本への旅行や、食品関係以外の破棄物や工業製品などの分野にまで広げようとしているわけだ。

日本旅行の代わりに「竹島(独島)観光」がブーム

   さて、その旅行分野だが、聯合ニュース(8月6日付)「観光客減を不安視する日本自治体 韓国航空各社に路線維持『懇願』」は、旅行ボイコット運動に根を上げた日本の苦境を、やや誇らしげにこう伝えている。

「韓国国内で日本への旅行をやめる動きが広がるなか、韓国人客の急減による地域経済への打撃を懸念する日本の自治体関係者が韓国を訪れ、韓日航空路線の運航継続を求めている。エアソウルには先月(7月)、香川県高松市、鳥取県米子市、富山県と、同社就航地の三つの自治体関係者が訪ねてきた。自治体側は就航に感謝の意を示すとともに、協力の一層の強化を申し入れた」
「エアソウルの関係者は『日本旅行を拒否する運動により(韓国人客の)航空、宿泊などの予約率が急落し、驚いた日本の自治体が韓国の雰囲気を把握しようと奔走している。路線の運休を心配し、自治体なりの対応策も整えているようだ』と話した」

   日本の自治体は、チェジュ航空、イースター航空、ティーウェイ航空、エアプサン、ジンエアーなどにも接触したという。

「航空業界の関係者は『日本の自治体側は、韓国の乗客が減るなら日本からの旅客を増やせるよう航空券を値下げし、日本人対象のプロモーションを強化しようと持ち掛けるなど、路線を守るため腐心している』と伝えた」

と、日本側の必死の様子を報じている。つまり、韓国から旅行客が来ないのなら、逆に日本側から行かせるから、ぜひとも日韓の航空路線を維持してくれと頼んだのだった。しかし、韓国側の対応は冷たいものだった。

「だが、もともと供給過剰だった日本路線の需要急落が目立っていることから、韓国の航空各社は日本便の運航縮小にとどまらず路線撤退までも検討している」

というのである。

   では、日本旅行をやめた韓国人観光客はどこへ向かうのか。聯合ニュース(8月7日付)は「日本旅行の代わりに独島 SNSへ記念写真が続々」と、日本の領土「竹島」(韓国名・独島)への旅行が増えている実態を伝えている。いうまでもなく、韓国が領有権を一方的に主張し続けている島である。

「夏休みの旅行先として最東端の独島が注目を浴びている。背景には、日本政府が韓国に経済報復を決定したことに対し、反発が高まっていることが挙げられる。独島旅行に出かけた人たちが、『独島旅行』とハッシュタグをつけた記念写真をSNSに次々と投稿している」
「自営業の40代男性、ホ・ジョンさんは家族で4日間の独島旅行をした。『家族で独島に行くことが人生のバケットリスト(したいことリスト)の一つだった。日本による経済報復が起こり、絶対に独島に行かなければと心が決まった』と語った。日本による植民地支配は忘れないことが、小学1年と3年の2人の娘の未来にとって賢明との考えを示した」
「観光学を専攻する大学生パク・ジュヨンさんは2泊3日で同級生4人と独島を訪れた。独島の地を踏んだ時には胸にこみあげてくるものがあった。太極旗(韓国国旗)を掲げた写真をSNS上にアップ。『日本の経済措置以降、日本への旅行を控える傾向があり、こういう時に独島旅行に行けば一層意味があると思った』と語った」

   火に油を注ぐような「観光旅行」になりかねない。

(福田和郎)

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