得意の「放射能汚染検査」の武器を食品以外にも
まずは、ひと安心というところだが、ここへきて「放射能汚染検査」を持ち出して日本からの輸入物を規制し、報復する動きが加速しそうだ。韓国経済(8月6日付)「韓国、日本産石炭灰の放射能の検査強化」は、こう伝えている。
「韓国政府が石炭火力発電の廃棄物である日本産石炭灰を輸入する際の安全検査を大幅に強化することを検討する。日本が韓国を輸出手続き優遇対象のホワイト国から除外することを決めてから、韓国政府の具体的な初の正面対抗措置と分析される」
「環境部は5日、『石炭灰を含む日本産放射性廃棄物輸入に対する検査を強化することを検討している』と明らかにした。現在サンプリング方式で行われている日本産石炭灰に対する放射能と重金属検査を全数調査に変え、通関を厳しくするなどの案が有力に議論されている」
日本では、石炭灰は年間1280万トン(2017年)に達し、韓国はこのうち10%を輸入しセメントの原料として活用してきた。日本としては、埋め立て費用を節約できるうえ、環境汚染も避けられる「儲かる商売」だった。だが、それもふいになり、日本の石炭火力業界は大きな痛手を受ける。環境部はさらに、廃プラスチックなどほかの日本産廃棄物輸入規制も検討しているという。
じつは韓国にとって、「放射能汚染検査」は日本に対抗する「得意の武器」である。2011年3月の福島第一原発事故後、韓国は放射能汚染を理由に福島や岩手など8県産の水産物の輸入を禁止。さらに水産物以外の日本産食品の検査を強化するなど規制を広げている。
日本は規制の撤回を求め、2015年にWTO(世界貿易機関)に提訴したが、今年4月、日本側の敗訴が確定した。韓国は日本への報復に、この「奥の手」を日本への旅行や、食品関係以外の破棄物や工業製品などの分野にまで広げようとしているわけだ。