クール・ビズはドレスコード違反
デフォルト族らに向けてはまず「スーツのルール」をプレゼンテーション。ジャケットやズボンなどパーツ別に列挙して、無頓着からの改心を促す。なかには、トリビア的なこともリストアップされ、無頓着な人にはそこまでは無理じゃないかと余計な心配をしてしまう。
たとえば、ジャケットのポケットについているフラップ。ほこりが入りやすい屋外では出してポケットをカバーするようにし、室内ではポケットのなかに隠すように――という「迷信のような話がある」。いわばポケットのふた。だから、室内でだれかと打ち合わせなどをしている際にフラップを出したままだと、相手に礼を失したことになりかねないのだという。「一番簡単な解決策は、『常時フラップは隠しておく』ということになる」そうだ。
この夏、日本は猛暑に見舞われているが、スーツやネクタイ無用の「クールビズ」について著者は、「とんでもないこと」と切り捨てる。
「暑いからネクタイを取るとか半袖のシャツを着るという態度は、ひどく自己中心的だ。半袖のシャツがビジネスシーンでも使えるとか、半袖シャツにネクタイを締めれば礼を欠かさないとされているのは日本"だけ"の常識であって、世界的に見ればそんなドレスコードは存在しない。着用者の快・不快だけを基準にして、本来必要なものを省いてしまっている。明らかなルール違反で、礼を欠いている」
著者は、ジャケットをトロピカル生地やサッカー生地製の夏用にし、リネンのシャツにニットタイという「非常に成熟した大人の着こなし」を提案する。今年の猛暑の間は、現実的とは思えないが......。