トランプ米大統領が、対中制裁関税「第4弾」を2019年9月1日から発動することを発表。米中貿易戦争が「再燃」した。ドル売りが一気に加速し、その流れが継続する可能性がある。一方、米政策金利が0.25ポイント引き下げられた。米連邦準備制度理事会(FRB)は長期の金融緩和策の観測に否定的だが、9月の追加利下げ観測がジワリと広がっている。
「円高ドル安」相場で、日経平均株価は冴えない。「トランプ相場」に、どうなる? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 中国の経済指標「悪化」ならば「売り材料」に
日経平均株価予想レンジ:2万500万円~2万1200円
2019年8月2日(金)終値 2万1087円16銭
今週の日経平均株価は、2万1000円をめぐる攻防か。
前週の日経平均株価は、大幅に下落した。7月31日の米FOMC(公開市場委員会)での利下げ幅は0.25%と市場の予想どおりだったが、パウエル米FRB(連邦準備制度理事会)議長の「長期にわたる利下げ開始を意味するものではない」との発言を嫌気。加えてトランプ米大統領が対中制裁関税「第4弾」を9月1日から実施すると発表したことで、米ニューヨーク株式市場のダウ平均株価が前日比300ドルを超える急落となったこと、また一時6月25日以来となる1ドル=106円台となる急激な円高になったことから、日経平均株価も急落し一時2万1000円を割り込む場面もあった。
今週の日経平均株価は、2万1000円をめぐる攻防となりそうだ。米国の利下げの影響は、かなり相場に織り込まれたものの、米中貿易摩擦の再燃の影響は強く残っている。
8日に中国の7月貿易収支、9日に同じく7月の消費者物価と生産者物価が発表予定で、市場予想よりも悪い結果となれば、売り材料として意識されそうだ。それだけに、中国・上海株式市場の動向には注意が必要だろう。
ただ、米議会上院が8月4日から夏季休暇入りすることで、米中貿易協議に関しては、進展はなさそう。日本株は、企業の決算発表が本格化することから、個別物色の展開となりそうだ。
東京外国為替市場 米国「追加利下げ」観測再び
ドル・円予想レンジ:1ドル=105円50銭~107円50銭
2019年8月2日(金)終値 1ドル=106円58銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、ドルの下値を探る展開となりそうだ。
前週のドル円相場は、ドルが大幅下落。7月31日のパウエル米FRB(連邦準備制度理事会)議長の「長期にわたる利下げ開始を意味するものではない」との発言を受け、9月の追加利下げ観測が後退したことで、ドル円相場は一時1ドル=109円台前半まで上昇したが、トランプ米大統領が対中制裁関税「第4弾」を9月1日から実施すると発表したことで、リスク回避のドル売りにより、1ドル=106円台半ばに急落した。
今週の外国為替市場でドル円相場は、米中貿易摩擦の再燃でリスク回避のドル売りが継続すると見られることから、ドルの下値を探る展開となりそうだ。
加えて、パウエル米FRB(連邦準備制度理事会)議長は7月31日の利下げについて、「長期にわたる利下げ開始を意味するものではない」と発言しているものの、市場では米中貿易摩擦の再燃により、再び9月の追加利下げ観測が強まり始めており、ドルの下押し材料となりそうだ。
経済指標は、国内では6日に6月の家計調査、6月の毎月勤労統計調査、6月の景気動向指数、7日に7月29日、30日に開催された日銀金融政策決定会合の「主な意見」、8日に7月の景気ウォッチャー調査、6月の国際収支、9日に4~6月期GDP(国内総生産)速報値などが予定されている。なお、9日は上場企業の決算発表のピークとなる。
海外では、5日に米国の7月ISM非製造業景況指数、8日に中国の7月貿易収支、9日には中国の7月の消費者物価と生産者物価などが予定されている。
(鷲尾香一)