―― よりよいアイデア、発想を生み出すためには、どのようなことが必要だと考えますか?
青砥さん「自分の内側の情報に目を向けるということだと思います。脳神経科学的な話をすると、脳の中には三つのモードがあると言われています。特定の対象に意識を払わない、ぼうっとした状態の脳の回路、つまり無意識下の状態の神経活動『default mode network』。それに対して、積極的に思考を駆使する、意識的な注意を向けている状態および脳回路『central executive network』。そして、最近研究が進み注目されているのが、これら二つの状態をスイッチングしハブ的な役割を果たす『salience network』です。
『salience network』は、カラダの内側の情報をモニタリングし、内部変化に気づくための脳のモードなのですが、この気づきによって『central executive』のような意識的な思考を可能にしたり、『default mode network』のような無意識的な思考を誘導していると、いわれています。
世の中が便利になると人間の注意は、より外の世界に向いて広がっていきますが、じつは大事な情報は、自分の内側にこそたくさん眠っています。
最近、瞑想やDeep Thinkが注目されているのもそのためだと思っており、自分の内側に問いかけることによって情報を得ることも大切だと考えています。
僕がDeep Thinkしていると、確実にやって来るのが脳の中のモヤモヤ感です。しかし、『わぁ、行き詰まった』という時、そのモヤモヤ感に気づけているということは、自身の内側に目を向けられている証拠であり、そのモヤモヤ感の先に新たな閃きやアイデアが眠っているはずと思い込み、考えるようにしています」