米国政府からの集中砲火
仮想通貨業界も、ITバブル後のIT業界と同じ道をたどるのではないかと思います。現在、世界中には数え切れないほどの仮想通貨があります。ITバブルのときもそうでした。語尾に.com(ドットコム)という名前のついた会社が、まさに百花繚乱のごとくありました。しかし、バブル崩壊などを経て、今は「GAFA」と呼ばれる数社に集中しています。仮想通貨も、恐らくそうなるのではないでしょうか。
ビットコインの性能が悪いからハードフォークしたはずですが、性能の悪いビットコインがますます使われるようになっています。本当に資金移動に使いたいとき、十分な「流動性」のある仮想通貨は、現状ではビットコインしかありません。取引量、時価総額が大きいからこそ選択されます。
他の通貨では、少しの資金移動でも値が飛んでしまい、実質的に使えない状況になっています。
さて、仮想通貨業界から歓迎されていない「リブラ」ですが、金融界や政界といった、いわゆる「既存勢力」からは、もっと大きな声で反対されています。
米議会は「リブラ」開発責任者であるデビッド・マーカス氏を呼んで数時間も「公聴会」を行いました。これまでのフェイスブックに対する不信が背景にあるとは思いますが、議員の方々の反応には凄いものがあります。
パウエルFRB議長は、当初は「利点もある」と一部評価していましたが、すぐに態度を翻し、今では「深刻な懸念」があるとしています。G7(先進国首脳会議)やG20(先進国+新興国)でも議論され、G7では「最高水準の規制が必要」と、議長総括まで公表されました。
すなわち、
「最高の規制基準を満たすこと」
「利用者保護と保証を確実にするため、すべての管轄地域で適切な法的根拠を示す」
「サイバーレジリエンスを確保すべき」
「資産管理は市場の完全性を確保するため、安全で透明であるべき」
―― などです。
これらの規制のすべてを満たすだけでも大変です。おそらく、すべてを満たすには数年、もしくはそれ以上かかるのではないでしょうか。