「ダ行」の言葉を避ける
これらNGワードは顧客企業別となろうが、著者は経験から、謝罪訪問の現場を通じて、できるだけ、会話のなかで「ダ行」(「で」を除く)を使わないようアドバイスする。「私の経験ですが『だ・ぢ(じ)・づ・ど』の音は相手に耳障りな印象を与え、不快にさせてしまうことがあります」。「○○だと思います」は「○○かと思います」に言い換えた方がいいという。また「どうも申し訳ございません」は「大変申し訳ありませんでした」の方がベターだそうだ。
言葉遣いなどのほか、服装や身に着けるものにも注意が必要だ。このうち忘れがちなのが「腕時計は必ずはずす」ということ。「特に、高級時計を着けているなどはもってのほか」であり、面会中に腕時計に視線を向けたりすれば、まるで「早く終わってほしい」と思っているのではないかと誤解される可能性がある。
謝罪訪問の際の装いなどについて著者はかつて、謝罪に至るということは緊急事態なので、善処に必死だったことをアピールするため頭髪などは整っていない方がいいのではないかと考えたこともあったそう。だが、その道のプロとなって、実際はその逆であることが分かったという。「顧客は、信用できる会社(もしくは人)なのかを確認したいと思っている場合が多く、しっかり準備して整えられた身なりで来る人を好む」のだ。訪問に赴くメンバー同士で互いにチェックすることを忘れてはならない。
本書で開陳している「謝罪の極意」を生かして著者は2年前、コンサルタント会社を設立。謝罪コンサルタント、働き方コンサルタントとして活動している。謝罪のプロであることか「アヤマリスト」の異名も。顧客企業の半数は、マイクロソフト時代に謝罪行脚した会社という。このことが示すように、著者は本書で、謝罪の仕方次第で信用を勝ち取ることができ、大きなビジネスチャンスになることを合わせて強調している。
「謝罪の極意 頭を下げて売上を上げるビジネスメソッド」
越川慎司著
小学館
税別1300円