近い将来(今後5年以内)に、「M&Aに関わる可能性がある」と答えた企業は35.9%にのぼった。帝国データバンクが「M&Aに対する企業の意識調査」を、2019年7月25日に発表した。
内訳をみると、「買い手となる可能性がある」と答えた企業は22.2%。M&Aに前向きの企業のほうが多いようだ。「売り手となる可能性がある」が7.9%、「買い手・売り手の両者の可能性がある」が5.8%だった。
買い手企業が重視するのは「金額」とお相手の「懐具合」
ここ数年、中小企業の事業承継などの課題解決の手段の一つとして、M&A が注目されている。
調査によると、今後5年以内に「M&Aに関わる可能性がある」と答えた企業は35.9%。「M&Aに関わる可能性はない」が39.0%。25.1%が「わからない」と答えた。
「買い手企業として、相手企業に対して重視することは」との問いに、「金額の折り合い」と答えた企業は76.8%で、最も高かった。次いで「財務状況」の70.3%、「事業の成長性」が67.4%、「従業員の処遇」54.6%、「技術やノウハウの活用・発展」が54.3%と続いた(いずれも、複数回答)。
一方、「売り手企業として、相手企業に対して重視することは」との問いには、「従業員の処遇」が78.3%でトップ。次いで、「金額の折り合い」(72.7%)、「経営陣の意向」(50.4%)、「人事労務管理や賃金制度」(35.9%)、「財務状況」(32.6%)が上位を占めた。
買い手企業、売り手企業ともに、まずは金額で折り合えば、前向きに進んでいける可能性があるようだ。
今後、社会の大きな変化や経営者の高齢化が進むなかで、M&Aに対する必要性について、51.5%の企業が「M&Aの必要性は高くなる」と答えた。また、必要性は「変わらない」と答えた企業が21.7%。「M&Aの必要性は低くなる」は1.7%にとどまった。
なお、調査は2019年6月17~30日に実施。全国2万3632社が対象。有効回答数は9977社(回答率42.2%)だった。
調査でいうM&Aは、企業の買収や合併、一部株式の売買による資本提携などの企業戦略全般を指すほか、人材難などにより後継者がいない場合の事業承継の手段や事業の一部譲渡を含む。資本の移動を伴わない業務提携(共同研究、開発など)は含まない。