「3年で5000万円貯めてよね」
そこで私は考え方を変えることにした。
幸いにも私が働いていた銀行は、男女の給与差はない。女性でも頑張ればそれなりの収入を得ることができる。もともと共働きで頑張るつもりだったし、このまま働いて私が大黒柱になればよいと覚悟を決めた。
そのうえで、夫には条件を出すことにした。
「辞めてもいいよ。でも条件がある。3年で5000万円貯めてね。それができなかったら、もう一度公務員の中途採用試験を受ける約束をして。」
3年で5000万円。かなり無謀な金額を提示した。
これで諦めるのか、それとも条件を飲むのか......。
夫の覚悟もこれでわかる。
「わかった。3年だけ時間をちょうだい」
そこまで言うなら仕方がない。深夜まで続いた話し合いはようやく終わった。
そして、その年の3月末で夫は公務員を辞めた。
4月。私の職場では家族の環境が変われば、報告しなければならない。
上司に「3月で主人が仕事を辞めました」と伝えた。
オカタイ銀行の上司。第一声は、「は?」だった。
そして住宅ローンはどうするのか、子供の教育費はどうするのかと質問攻めに。
当時の上司が、私を憐れむような目をして見ていたことは忘れられない。
男はサラリーマンとして会社で定年まで働いて一家を守るのが当たり前、という考え方の人にはまったく理解ができなかったんだと思う。
同僚の男性行員が結婚して、奥さんが仕事を辞めると言っても何も言わないのに。
男性、女性のどちらが働いても、別にいいんじゃないの?
とは言っても、上司の反応は想定の範囲内。
古い体質の職場に理解してもらおうなんて期待はしていなかった。
仕事を辞めてしまった以上は前に進むしかない!
周りからなんと言われようが、私は必死で働くしかなかった。
「3年で5000万円貯めることができなかったら、もう一度公務員に戻る」
かなり厳しい条件を出したけれど、夫にまた公務員に戻って欲しいとは、なぜか思わなかった。
なんとかしてこの条件をクリアしてくるんじゃないかと不思議と感じていた。
おそらく収入だけでこの金額を貯めることはかなり難しい。
でも、お金は「運用」で増やすことができる。
「akiog」の原点は、夫が私の出した条件をどうやったらクリアできるかを真剣に考えて、その過程をブログとして公開していくことから始まったのだ。
2年後。夫は前倒しで条件をクリア。私も晴れて銀行を退職。
銀行でずっと働くと思っていた人生がこんなに変わるとは想像もしてなかった。
今はあのときの夫の決断に感謝している。(ひろこ)
お金のことってなかなか人に相談できないよね。
みんな、お金のことってどう考えてるの? 投資って、難しいでしょ?
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