「『韓国叩き』を長引かせて改憲に利用しようとしている」
安倍氏が若くして首相に上り詰めた背景に朝鮮半島があるというわけだ。逆に、そのことが今回の日韓経済戦争の解決を難しくしていると指摘する。
「韓日専門家の間で、今回の強制徴用問題は長引くという見方が出ている理由もここにある。安倍氏が改憲の野心のために韓日葛藤を利用する可能性があるからだ。来年7月の東京五輪前後に交渉局面に入るとしても、その後いつでも再発する余地がある」
「拉致の安倍」ではなく「韓国叩きの安倍」という人気を改憲に利用するために、日韓経済戦争を長引かせるのではないかと懸念しているのだ。そんな安倍氏が大胆に貿易報復をする背景には、トランプ米大統領がいるという。
「トランプ大統領の登場以降、平坦だった世界がでこぼこになっている。『攻撃的一方主義』と2国間交渉が支配する世の中に変わった。安倍氏はこうした変化を利用して韓国を苦しめている。当然、世界メディアも日本を非難している。『安倍晋三の望みのない貿易戦争』(ブルームバーグ通信)、『自由貿易の恩恵を受けてきた日本の偽善』(ファイナンシャルタイムズ)、『日本外交のトランプ化』(ウォールストリートジャーナル)......」
韓国の望みは米国の仲裁だが、
「すでに一方的貿易主義に向かったトランプ政権が積極的に動くかは疑問だ。米フォーリンポリシーは『トランプ大統領が仲裁する見返りに、米軍駐留費用や貿易協定でより多くの譲歩を要求する可能性もある』と分析した。不動産事業家出身らしい」
と、記事ではトランプ氏にさじをなげた形だ。
一方、安倍氏が「韓国叩き」で高い支持を得ようとしているのと同様、文在寅大統領も反日世論を利用しようとしている。日韓貿易戦争が始まって以来、文大統領の支持率は上昇傾向にあり、7月22日、ついに8か月ぶりに50%を超え、51.8%を記録した。もちろん、日本に対する強い姿勢を期待してのことだ。このことに関して、中央日報はこう警告して記事を結んだ。
「韓国政府が今回の摩擦を解決しようとすれば、韓半島問題を政治化させて長引かせようとする安倍首相、そしてトランプ大統領が変えた国際貿易秩序を勘案しなければいけない。理念や民族感情を下ろして徹底的に国益を問いただし、落ち着いて対応しなければいけない。竹槍や義兵、12隻の船(秀吉の朝鮮侵略を防いだ朝鮮水軍の亀甲船)ではなく、緻密な知恵と戦略が必要な時だ」
(福田和郎)