おとなの教養として理解したい
この問いについて、向谷匡史さんは次のように解説します。
「まず、『お年寄りは大切にするんじゃなくて、感謝するんだ』と置き換えるようにしてください。するとたいていの人はキョトンとします。『何に感謝するの?』というわけですね。実態が見えてこないのです。そこで、『自分がこの世に存在することへの感謝だよ』と説明を続けます。
お父さんとお母さんがいて、キミたちが生まれた。お父さんも、お母さんも、それぞれお父さんとお母さんがいて、この世に生まれた。つまり、お爺ちゃんとお婆ちゃんがいなければ、お父さんもお母さんも、キミらも生まれてこないんだと」
向谷さんは、人間として生まれてくることの不思議さ、命の尊さを考えることも大切だと言います。私たち、一人ひとりが、もっと命の尊さについて考える必要性があるということです。祖父母の若いときの姿をわかりやすく見せて理解させれば、「高齢者はお荷物」という発想は絶対に出てこないはずです。
私たちにとって「孤独」とはいったい何なのでしょうか。本書のベースは善人よりも悪人の方が救われるという「悪人正機」説で知られる浄土真宗の宗祖、親鸞の教えです。
興味はあるけれど、内容に詳しくは知らないという人を念頭に解説されています。大人の教養として知っておきたい仏教の基礎知識を理解することで、物事の正しい道筋を見つけられるかもしれません。(尾藤克之)