なぜ、お年寄りに席をゆずるのか? そう思ったら読みたい本

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おとなの教養として理解したい

   この問いについて、向谷匡史さんは次のように解説します。

「まず、『お年寄りは大切にするんじゃなくて、感謝するんだ』と置き換えるようにしてください。するとたいていの人はキョトンとします。『何に感謝するの?』というわけですね。実態が見えてこないのです。そこで、『自分がこの世に存在することへの感謝だよ』と説明を続けます。
お父さんとお母さんがいて、キミたちが生まれた。お父さんも、お母さんも、それぞれお父さんとお母さんがいて、この世に生まれた。つまり、お爺ちゃんとお婆ちゃんがいなければ、お父さんもお母さんも、キミらも生まれてこないんだと」

   向谷さんは、人間として生まれてくることの不思議さ、命の尊さを考えることも大切だと言います。私たち、一人ひとりが、もっと命の尊さについて考える必要性があるということです。祖父母の若いときの姿をわかりやすく見せて理解させれば、「高齢者はお荷物」という発想は絶対に出てこないはずです。

   私たちにとって「孤独」とはいったい何なのでしょうか。本書のベースは善人よりも悪人の方が救われるという「悪人正機」説で知られる浄土真宗の宗祖、親鸞の教えです。

   興味はあるけれど、内容に詳しくは知らないという人を念頭に解説されています。大人の教養として知っておきたい仏教の基礎知識を理解することで、物事の正しい道筋を見つけられるかもしれません。(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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