2020年東京五輪開催まで1年となり、東京都などは選手や関係者らのスムーズな輸送を図るため、首都高速道路など基幹ルートでの交通規制テストを始めた。東京は世界有数の過密都市。そこに五輪期間中、延べ約1010万人を超す来場が見込まれている。都内に勤務するビジネスパーソンらにアンケートをすると、すでに通勤に不安を募らせており、「できれば休みたい」と考えている人が多いことがわかった。
通勤、仕事の移動に「不安」
グループウエア開発などを行うサイボウズの事業部門で、企業にチームワークや働き方改革のメソッドを提供しているチームワーク総研では、都内に務める25~50歳のビジネスパーソン男女400人を対象に、五輪開催時の働き方対応の意識などについて調査した。
大会中の通勤や仕事上の移動についての質問では、約4割の人「不安がある」(38.6%)と答え、「やや不安がある」(31.8%)と合わせると7割を超える人が少なからず不安に感じている=下図参照。
その理由としてほとんどの人が「移動に時間や手間がかかりそう」(92.4%)と、混雑の激化に悩まされることを恐れている。以下は「混雑により暑さが増しそう」(59.0%)「業務スケジュールの調整に影響が出そう」(31.7%)など。
さらに、「本音では会社を休みたいか」と聞くと、7割以上が「はい」(70.6%)と回答。その理由は「交通混雑が嫌だから」が73.2%でトップ。次いで「大会を観戦したいから」(53.3%)「出社しても仕事自体が滞りそうだから」(30.6%)「お祭り気分でやる気がしなそうだから」(27.8%)――だった=下図参照。
6割以上の企業で「対策」
調査対象の400人のうち、100人は「職場の働き方整備や制度作り業務への関与者」で、調査ではこの人たちに会社としての対策予定を聞いた。これに対し、約4割は「対策検討は予定していない」(38.8%)と回答。一方「すでに検討を進めている/対策が決定している」が14.6%で、「対策検討する予定だが、時期は未定」の回答が多く、6割以上の企業でなんらかの対策はとられるようだ。
検討する対策としては「時差通勤」「スケジュール調整の推奨」「有給休暇取得の推奨」が上位を占め、政府が働き方改革との「一石二鳥」を狙って推進している「テレワーク(リモートワーク)」は、その下だった。
一方、ニュートン・コンサルティングと危機管理の専門メディアである「リスク対策.com」が共同で実施した「東京2020大会に向けた企業のリスク対策実態調査2019」の分析結果によると、企業の間で「対策の必要がある」とされた東京五輪をめぐるリスクは「物流遅延」「従業員の出社遅延」「サイバー攻撃」がトップ3。
各企業に自社事業への影響について、すでに検討しているかどうかを聞いたところ、「すでに検討している」と回答した企業は全体の約41%。「検討していないが、今後、検討する予定」を併せると、こちらの調査では、全体の8割近くは検討が必要だと認識していることが明らかになった。
サイボウズチームワーク総研の調査は、6月28、29日の2日間、インターネットを使って行われた。ニュートン・コンサルティングとリスク対策.comの調査は5月21日~6月3日に、民間企業のリスクマネジメント担当者らを対象にWEBアンケートを実施し有効回答数は204だった。
東京オリンピックの大会期間は2020年7月24日~8月9日、パラリンピック大会は8月25日~9月6日。