トランプと一緒にするな! ケタ外れの英首相「ボリス」、金髪へのこだわり(井津川倫子)

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   とうとう「この日」がやってきました! 欧州連合(EU)の離脱をめぐって混乱が続く英国の新首相に、「英国のトランプ」ことボリス・ジョンソン前外相が就任したのです。

   ボサボサの金髪と奔放な発言がトレードマークの「ボリス」。「庶民派」がウリで、政治家としては珍しくファーストネームで呼ばれる「ボリス」ですが、バリバリのEU離脱強硬派としても知られています。

   そんな「ボリス」、調べてみたら本家本元のトランプ米大統領とは、「ビミョーに似ていない」ことがわかりました。

  • 新首相にボリス・ジョンソン氏を迎え、英国はどうなるのか!?
    新首相にボリス・ジョンソン氏を迎え、英国はどうなるのか!?
  • 新首相にボリス・ジョンソン氏を迎え、英国はどうなるのか!?

「成績優秀者」VS「ゴリ押し入学」

   テレビ出演などで人気を博した元ジャーナリストで、幼い頃に「world king」(世界の王)になることを夢みた「ボリス少年」が、とうとう英政界のトップに登り詰めました。

   「英国のトランプ」と称されるボリス氏ですが、英国では以前から誰もが知る超有名人。個人的には「トランプ氏のほうが『米国のボリス』だろう」と主張したいところですが、じつはこの二人、外見とは裏腹に「ビミョーに似ていない」そうなのです。

■「似ていない」その1:髪形へのこだわり方
President Trump's hair is very carefully styled, while Johnson's precisely the opposite.
(トランプ大統領の髪形は念入りに整えられているが、ジョンソン氏はまったく逆だ)

   「金髪」がトレードマークの二人ですが、髪形へのこだわり方は真逆だそうです。

   公の場に出る時は、櫛で念入りにスタイリングをするトランプ氏と違って、ボリス氏はわざとくしゃくしゃにすると報じられています。

   「親しみやすさ」を演出するために、ボリス氏は「寝起き風の髪形」にこだわっていて、「いかにかっこ悪く見せるか」が彼の戦略だとか。「庶民派ボリス」は、ちゃんと計算された姿のようです。

■「似ていない」その2:名門大学への「入り方」

   庶民派の外見とは異なって、エリート教育を受けたことで知られるトランプ氏とボリス氏。トランプ氏はアイビーリーグの名門プリンストン大学、ボリス氏は英国の名門オックスフォード大学の出身です。

   ところが、米紙の「分析」によると、「入学の仕方」が真逆だといいます。

Mr.Johnson qualified through an academic scholarship, while Mr.Trump admission reportedly required some familial arm-twisting.
(ジョンソン氏は奨学金を得て入学したが、トランプ氏は「家族のゴリ押し」で入学を認められたと報じられている)
arm-twisting:ゴリ押し

   実際、ボリス氏はかなり成績がよかったらしく、名門イートン校とオックスフォード大学には、成績優秀者だけがもらえる奨学金で入学しています。さらに、大学卒業時にも成績優秀者に選ばれており、学内でも有名人だったようです。

   一方、「家族のゴリ押し」で大学に入ったと報じられたトランプ氏。真偽のほどはわかりませんが、米国ではお金持ち子弟の裏口入学がニュースになっていましたから、さもありなん、というところでしょうか。

   海外メディアは、「どんなに隠そうとしても、ボリス氏の言動からは教養がにじみ出るのに対して、トランプ氏には教養のかけらも感じられない」とも分析しています。

   辛辣な比較に、思わず笑ってしまいました。

ケタ外れの「BoJoショー」

   とはいえ、「The BoJo show」(ボリス・ジョンソンショー)と揶揄されるほど、変わり身の激しいボリス氏の政治姿勢。ロンドン市長時代は「リベラル」でならしたものの、最近は移民反対などすっかり「ナショナリスト」の顔に変貌を遂げています。

   ニューヨークタイムズ紙はそんなボリス氏を、トランプ氏と相違はあるものの、「ケタ外れのポピュリスト」という根幹部分は同じだと、一刀両断に報じていました。

Like President Trump, Johnson is a larger-than-life populist.
(トランプ大統領のように、ジョンソン氏はケタ外れのポピュリストだ)
larger-than-life:ケタ外れの、人をひきつける、大きくて目立つ

   それでは、「今週のニュースな英語」は、この「larger-than-life」を取り上げます。

   まずは、物理的に「実物よりも大きい」という意味の使い方から。

They built a larger-than-life bronze statue of the king.
(彼らは、実物より大きな国王の銅像を建てた)

Klimt painted many larger-than-life portraits.
(クリムトは多くの実物より大きな肖像画を描いた)

   「英雄的な」「とても目立つ」という意味でも使います。

JFK was a larger-than-life politician.
(ケネディ元大統領は、偉大な政治家だった)

   EU離脱をめぐる「決められない政治」に飽き飽きした英国では、「ボリスならやってくれるはずだ!」と、常識破りの行動力に期待をする声も聞かれます。実際、ライバルに大差をつけて保守党党首に選ばれ、首相に就任したボリス氏。どんな「Bojoショー」が繰り広げられるのか。トランプ氏とは異なる「行動力」を期待したいものです。(井津川倫子)

kaisha_20170303104637.png
井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
姉妹サイト