トヨタも参入した「サブスク」ビジネス...... すでにバージョン2.0に進化(気になるビジネス本)

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トヨタの「KINTO」利用者負担は駐車場と燃料費だけ

   「ラクサス」がサブスクビジネスの象徴的存在である一方、このビジネスの認知度を一気に高めたのがトヨタ自動車だろう。若者のクルマ離れがいわれるようになり、シェアリングのカルチャーが拡大。海外市場では競争の激化や貿易体制の見直しなどもあり頭打ち傾向だ。トヨタはこうした状況の変化に対応して「モビリティーカンパニー」に向かうことを打ち出している。「サブスク」サービスの開始はその足掛かりの一つとされる。

   トヨタの新サブスクサービスは「KINTO(キント)」と名付けられ、2019年2月から東京で始められた。同社の新車が月額料金で乗れる。全国展開も視野に入れている。サービス名の由来は、孫悟空の「きん斗雲」。必要なときにすぐ乗れ、思うままに移動できる――というわけだ。

   サービスメニューは2種類。プリウスやアルファードなど5車種から選べる「KINTO ONE」と高級車レクサス専用の「KINTO SELECT」。料金はグレードやオプションにより異なるがプリウスだと、月額4万9788円~5万9832円になる。料金設定はコストを積み上げて算出され、対人・対物無制限の任意保険や自動車税、登録諸費用が含まれる。利用者は駐車場と燃料費だけを負担する。

   メーカーのサブスク事業は、本業といえる「販売」と競合する。トヨタとしては、購入以外の選択肢を用意し、クルマ離れが進む若年層などとクルマあるいはトヨタとの接点にしようとあえてサブスク参入を打ち出したという。

   だが、サブスク事業専用の契約・納車・修理・メンテナンスのラインはなく、それらを担うのは販売店。「つまり、販売店なくして成り立たないビジネス。果たして販売店側がしっかり協力し、力を注ぐ体制はできているのか」と、本書は不安な点を指摘。本書の「撤退の研究」のパートで触れているように、本業の販売品をサブスク事業化して失敗。すでに撤退した例がある。

   「先が見えない大海に漕ぎ出し始めた」とされるトヨタ。「サブスク」ビジネスの行きつく先が注目される。

「サブスクリプション2.0 衣食住すべてを飲み込む最新ビジネスモデル」
日経クロストレンド編
日経BP
税別1600円

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