日韓経済戦争が泥沼化するなか、韓国国民の反日感情の高まりが韓国紙の「不買運動」にまで飛び火している。韓国最大の発行部数を誇る朝鮮日報の報道姿勢が「売国的だ」として、市民団体などの怒りを買っているのだ。
この不買運動をライバル紙があおるかのように大きく取り上げるありさま。さながら内ゲバ状態を呈する韓国の新聞事情を読み解くと――。
ヤリ玉にあがったのは韓国最大紙の朝鮮日報
不買運動を大きく取り上げているのは、もっとも激しく日本政府を批判しているハンギョレだ。2019年7月23日「『朝鮮日報』不買に飛び火した日本製品不買運動」はこう伝えている。
「日本の輸出規制措置への対抗として、韓国消費者の日本製品不買運動が広がる中、今度は朝鮮日報をめぐる不買の動きが起きている。朝鮮日報が『反韓感情を煽る方法で、日本語版記事の見出しをつけ、日本政府の主張を拡大・再生産する記事を書くなど、国益を損なっている』という理由からだ」
「7月19日、市民団体『言論消費者主権行動』(言消主)は『8月12日から、朝鮮日報の広告主に対する不買運動を開始する』と発表した。国民キャンペーンとして毎週、朝鮮日報に広告を多く掲載した企業3社を選び、SNSを通じて市民に知らせ、該当企業の製品を買わない方式で行われる」
つまり、朝鮮日報自体の不買ではなく、広告主の製品を買わない運動によって、間接的に圧力をかけようというわけだ。その理由について、イ・テボン言消主事務処長は、ハンギョレの取材にこう説明している。
「新聞収益に大きな影響を及ぼすのが広告であるため、購読中止運動は大きな効果がないと判断し、広告主の企業に対する不買運動方式を選んだ」
この団体の新聞に対する不買運動は今回が初めてではない。2008年には、牛海綿状脳症(BSE・狂牛病)に関連して歪曲した報道をしたとして、韓国の三大新聞である朝鮮日報、中央日報、東亜日報の広告不買運動を展開した。この時は、相手から業務妨害で裁判に持ち込まれ、裁判所は広告主に対する業務妨害は成立するが、新聞社に対する業務妨害は成立しないと判決した。
イ事務処長は、ハンギョレの取材に対し、
「例を見ない誤った判決だ。その後、消費者運動が萎縮した。今回の不買運動が問題になるなら、再びきちんと裁判を受け、判例を変えたい」
と意気軒高だ。