「日本人の小説を出すなんて、正気なのか?」
朝鮮日報(7月22日付)「凍り付いた韓日関係に自制する出版界......日本の書籍が相次ぎ出版延期」はこう伝えている。
「日本の大衆小説を専門に出版するブックスピアのキム・ホンミン代表は、フェイスブックで『推理小説の女王』と呼ばれる宮部みゆきの本の広告を出している。しかし、一週間前から広告に『チョッパリ(日本人の蔑称)の小説を出すなんて、正気なのか?』というコメントが付き始めた。キム代表は『出版されて10年たつ本にもそのようなコメントが付いているのを見て急に怖くなり、ひとまず新刊の出版を延期することにした』と話した」
「日本の本の不買運動が始まったわけではないが、出版各社が自ら動きを控えている雰囲気だ。大手書店教保文庫の関係者は『日本の本の販売量が減少したわけではないが、インターネットの世論が尋常ではないため、鋭意注視している』と話した」
「出版社マウム散策は、表紙作業まで終えていた日本の評論家・津野海太郎の『読書と日本人』の出版を無期限に延期した。チョン・ウンスク代表は『ほかにも日本の本3冊の出版作業をストップした』と明らかにした。チョン代表は、最近、日本の映画監督の本を出版したときも、書店関係者からタイトルに『旅館』という単語が入っているため陳列するのが困難だと言われた、と語る」
「旅館」は、日本の植民地だった時代に日本から入ってきた言葉で、「日帝(日本帝国)の残滓(ざんし)」の一つとして、現在、韓国各地で糾弾されているのだ。
同紙は最後に、こう結んでいる。
「図書マーケティング企業も火の粉が降りかかるのではないかと注意している。キムヨン社は8月末に予定していた小説家・松家仁之の訪韓イベントの中止を検討している。『本と社会研究所』のペク・ウォングン代表は『民間交流は平常心を持って冷静に行われないと、政界でも心配するだろう』として『政治的な問題が文化全般に過剰に拡大するようで心配だ』と話した」
(福田和郎)