日韓経済戦争の泥沼化によって韓国で日本製品の不買運動が広がっているが、ユニクロが二度も謝罪する羽目に追い込まれ、韓国紙が大々的に報じている。
親会社の日本本社役員が「不買運動は長続きしない」と発言したことに、韓国メディアが激怒。いったんは謝罪文を発表したが、今度は「反省が足りない」と批判され、再度お詫び文を発表したのだ。
本社役員「不買運動は長く続かない」失言が命とりに
ことの発端は2019年7月11日、ユニクロを運営するファーストリテイリングが東京で開いた決算発表会見だった。記者たちから韓国で広がりつつある日本製品の不買運動の影響について質問が出た。すると、財務担当の岡崎健CFO(最高財務責任者)は「(不買運動で)足元に一定の影響が出ている」としながらも、「政治情勢に振り回されることなく、粛々とやっていく。長期的な売り上げに影響を与えるほど長くは続かないと思う」と答えたのだった。
この発言が伝わると、SNSなどを中心に「韓国消費者を軽視するものだ」という批判が広がった。その様子を中央日報(22日付)はこう伝える。
「岡崎CFOの『業績を引っ張ることはないだろう』という発言は韓国インターネットコミュニティーを中心に急速に広まった。全国のユニクロ店舗では『BOYCOTT JAPAN 行きません 買いません』と書かれたカードを持った消費者が1人デモをしたりもした」
また、ユニクロの代わりに韓国のファストファッションブランド製品を利用しようという提案も広がった。
不買運動の拡大をハンギョレ(19日付)の「『ノーノージャパン』国産の代替品を掲載し人気」というタイトルの記事はこう伝える。
「オンライン・コミュニティやSNSには『日本商品リスト』が共有される一方、日本ブランドの会員から脱退したことを示す写真と文が掲載されている。特に最高財務責任者(CFO)の発言で、韓国消費者の怒りを買ったユニクロが主な脱退の対象となった」
「ネットユーザーらは『後で忘れて、また買うかもしれないと思い、昼休みの間に脱退した』などの書き込みと共に、脱退画面のスクリーンショットを掲載した。大邱ユニクロ前での1人デモに関連しては、各自が作ったプラカードを持って午後1~6時の間に交代で一人デモを行う予定だ」
韓国ユニクロは売り上げが26%減に?
あわてたユニクロは16日、謝罪文を発表した。しかし、日本本社が直接謝罪する形ではなく、韓国法人を通じて謝罪文を発表したのがマズかった。
「中途半端な謝罪」「間接的なお詫び」(ハンギョレ)
「誠意が足りない」(聯合ニュース)
などと、逆に批判が高まる結果になってしまった。
その結果、中央日報(22日付)によると、
「(ユニクロは)不買運動の象徴に浮上して、売り上げが26%ほど落ちたものと観測される。(韓国法人である)FRLコリアは2015年に売り上げ1兆ウォンを超える高速成長した。韓国全土で187店舗を保有しており、昨年(2018年)は1兆3700億ウォンの売り上げを上げた。今回の不買運動で売り上げ1兆ウォンを割り込むこともあるとの見通しが出ている」
というありさまになってしまった。
7月22日に発表したユニクロの二度目の謝罪文は、ファーストリテイリングと韓国法人であるFRLコリアの両社の共同名義で、それぞれのホームページに日本語とハングルで掲載されている=写真参照。
謝罪文では、まず「不十分な表現のために、真意を適切にお伝えできず、結果的に多くのお客様に不愉快な思いをさせてしまったことに対して、心からお詫び申し上げます」と謝った。そして、問題になった最高財務責任者(CFO)が「不買運動が長続きはしないと思っている」と発言をしたことについては、こう釈明したのだった。
「この真意は、『私たちができることは、よい商品とサービスを提供するための努力を真摯に続けていくことしかなく、韓国でも長年ご愛顧いただいていますので、その影響が長く続かないことを願っています』という趣旨でした。『願っています』と明確に言うべきところを、『思っています』という不十分な表現を使ったため、韓国のお客様に不愉快な思いをさせてしまいました」
つまり、「願っている」と言うべきところを、「思っている」と言ってしまったことが悪かったというわけだ。一つの言葉の間違いという釈明で韓国消費者は納得するだろうか。三度目がなければよいが......
(福田和郎)