会社の「転職妨害」はこんなケースでありがち
会社側が同業他社へ転職活動を妨害する行為で、ありがちなケースをご紹介しましょう。
転職活動をする時間を作れないように、過度な業務を指示し長時間労働させたり、有給取得申請を拒否したりすることがあります。
また、有形無形に辞めさせないよう引き止め行為を行ったり、退職届を受け取らなかったりすることもありますね。さらに転職活動をしていることがわかれば、その候補先や転職の仲介エージェントなどに、その社員の悪評を伝え、内定が出ないようにすることもあります。
では、転職後に前の会社からのリークで辞めさせられた場合は、どう対応すればいいのでしょうか。また辞めさせられた社員側が、そのリークに疑義があることをなかなか実証できない場合は、どう対応することがいいのでしょう。
直接的には、転職先からの解雇になりますから、それが不当解雇なのかどうかを争うとすれば、争う相手は転職先の会社になります。
この場合、転職先の会社には解雇が無効であるとして、解雇後も引き続き従業員としての地位にあることの確認を請求することになるでしょう。
そして、 解雇が相当かどうかの主張・立証責任は、転職先の会社が負うことになりますので、たとえばそのリークが虚偽であるなどした場合、交渉や訴訟の場でおのずと明らかになると考えられます。
なお、前職の会社に対しては、リークによって職業選択の自由やプライバシーを侵害されたとして、不法行為に基づく損害賠償を請求することが考えられますが、その主張・立証責任は従業員側にあるので、転職先との交渉や訴訟の場でリークの具体的事実・状況などが判明しなければ、現実問題としては難しいかもしれません。
◆北川雄士弁護士のひと言◆
競業避止義務に反しない限り、転職は認められてしかるべきです。転職活動をさせないための嫌がらせや、退職届を受け取らないなどの転職妨害の疑いがあると感じたときや、転職先からの解雇トラブルに発展してしまいそうなときは、労働基準監督署や弁護士などに相談するようにしましょう。
今週の当番弁護士 プロフィール
北川雄士(きたがわ・ゆうじ)
弁護士法人グラディアトル法律事務所所属弁護士
京都大学法学部卒業後、神戸大学法科大学院修了
「労働問題」「男女トラブル」「脅迫・恐喝被害」「ネットトラブル」などを得意分野として扱う。
ライトノベル作家「U字」としての一面もあり、「剣と弓とちょこっと魔法の転生戦記 1 ~凡人貴族、成り上がりへの道~」(MFブックス)で作家デビュー。その後も、「剣と弓とちょこっと魔法の転生戦記」シリーズとして続刊を刊行中。
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