「好きなことをやりなさい」の真意
「みんなそれぞれ美しさを持っている」という強い信念があるからこそ、ジャニーさんは所属タレントに対して「○○をしなさい」と指示することはありませんでした。
「好きなことをやらせて、自己プロデュース力を育てる」
ジャニーさんのこの言葉には、そうした意図があったそうです。
一般的な職場では、好きなことだけやらせることは難しいかもしれません。けれど、
「指示するだけでなく新人の意見を聞いてみる」
「やりたそうにしている仕事は積極的に任せるようにしてみる」
など、できることはあります。
自己プロデュース力が育つだけでなく、「信頼して仕事を任せてもらえている」と思えることで、仕事への自信にもつながります。
「ボクは夢を作る側の立場だから」
ジャニーさんは、「夢」についていくつかの発言を残しています。
「出世の方法ではなく、夢に向かって頑張ることを教えたい」
「可能性のあるなしに関係なく、夢を描くこと」
そのうえで、「自分は夢を持っていない」と発言。その意図を、こう話していました。
「そんなこと言うと、何だかわびしい人間みたいだけど、ボクは夢を作る側の立場だから」
新人の夢や個性を認めて育てることを生きがいにしていたジャニーさん。そんな彼だからこそ、所属タレントたちは彼の死を大きく悲しんだのでしょう。
ただ人材を育てるだけではなく、信頼関係まで構築したジャニーさんの新人育成の心構えは、長く語り継がれるものになるかもしれません。(松田優)
プロフィール
松田 優(まつだ・ゆう)
作家、ライター
ゲームソフト開発会社勤務時代からライターとして活動。「底辺ネットライター」の実態を綴った覆面ブログが人気。2019年6月にビジネス系の書籍「かぼちゃの馬車の"クレーム"ブリュレ ホーメスト倒産事件を電子スイーツに仕立てた人たち」を出版。ウエブマガジンのライティング、小説家、ジャーナリストとして執筆中。また大阪を中心に、ラジオ出演など多方面で活躍している。
1983年生まれ、大阪在住。