ピース又吉直樹さんはやっぱりスゴかった! 「読みたくなる文章のからくり」がわかる本

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時代の変遷に左右されないことの意味

   文章は、著者のスキル、感性、思考力によって磨かれるものです。中原淳一という、昭和に活躍した作家がいます。彼は、少女雑誌『ひまわり』の昭和22年4月号に次のような文を寄せています。

「美しいものにはできるだけふれるようにしましょう。美しいものにふれることで、あなたも美しさを増しているのですから。」

   いまの時代でも通じるようなクオリティです。70年以上も前に書かれたとは思えません。時代の変遷に左右されない文とは、著者の技術的探求の結晶ではないかと思います。そして、時代を経ても解釈が変わることはありません。

   本書は、多くの作家の「すぐれた文章感覚」を、できるだけ平易な言葉を使って解説しています。

   紹介されている文体は約50パターン。これだけの数を揃えて、著者なりの視点で解説することは大変な作業ではないかと思います。エディトリアル、フォントの使い方も絶妙で、読者に読ませるテクニックが反映されている良著としてオススメできます。(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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