第25回参議院議員通常選挙が2019年7月4日に公示された。投票日は7月21日だが、「期日前投票・不在者投票」は公示の翌日からできる。
そこで、僕は市の選挙管理委員会から届いた「投票所入場整理券」を携えて期日前投票に出かけてみた。
そもそも、「宣誓」なんて大げさじゃない?
投票所入場整理券の裏面には「宣誓書(兼請求書)」というのが印刷されていた。そこには「私は、第25回参議院議員通常選挙の当日、以下の事由に該当する見込みであることを誓い、投票用紙を請求します」との市の選管委員長あての文面がある。
高校野球の大会か何かじゃあるまいし、期日前投票ぐらいで「宣誓」なんて大げさじゃないの?
そう思いながら、続きを見ると「期日前(不在者)投票事由」つまり投票日に投票所に行けない「理由」が1号、2号...... と5項目、並んでいる。
そのどれかに印をつけたうえでの宣誓が求められているわけだ。
理由の1号は「職務又は業務(仕事、学業、地域行事の役員、家事) 冠婚葬祭(本人、親族、仲人、手伝い等)」、2号は「(投票区外に)外出、旅行、滞在」、3号は「病気、負傷、歩行困難、出産」である。
4号は(多分、何かの事情で削除されたのか)なくて、5号が「住所移転のため、他市区町村に居住」、最後の6号が「天災、悪天候」となっている。
よく考えてみると、この理由自体もどこか変である。たとえば、3号には「病気、負傷、歩行困難、出産」とあるが、出産は別として、投票日に病気になる、負傷する、あるいは歩行困難になるとでもいうのだろうか?
1~6号の「理由」に当てはまらない人はどうするの?
ところで、僕は投票日当日には予定も何もないので、投票所に行ける。だけど、期日前投票というのを一度やってみたかった。それだけのことだから、1号から6号までのどの理由にも該当しない。印をつけるべきところがない。
投票所の受付の女性にそう伝えると、彼女は「でも......」と、困ったような顔をしている。そのやり取りを聞いて、奥から出てきた年配の男性が「どこかに印をつけてもらわないと、投票できないのですよ」と言う。
「じゃあ、天災、悪天候に印をつけます。当日は天変地異があるかもしれないから」と言ったら、彼は「それはちょっと...... 1号か2号にしてもらえないでしょうか」。選管の職員がそこまで指図していいのだろうか。そうは思ったけれど、ケンカするのも面倒くさい。素直に彼に従った。
以上、なんともマンガチックな話ではないだろうか。なんで理由まで書かせるのか。そして、それらの理由が嘘でないことを、わざわざ誓わせるのか。
でも、選管自体が好き好んでこんなことをやっているわけではない。公職選挙法施行令に、そうするよう書かれているのである。
とはいえ有権者を小馬鹿にした、こんな「宣誓書」など、すぐにやめてもらいたい。(岩城元)