京都のステーキ丼行列店が「売り上げを減らそう」と思った深いワケ(気になるビジネス本)

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新時代のビジネスモデルは「1/2」計画

   著者の中村さんは、本書でも、また最近になってしばしば機会がある講演などで「事業成長には興味がない」と述べている。だが、従業員の給料を上げることも必要になるだろうし、成長を考えないわけにはいかないのではなかろうか――。

   中村さんの考えによれば、売り上げの伸長は、経営者による「事業成長」のハンドリングによるものではなく、従業員「一人ひとりが成長してきたからこそ自然と」実現できたものという。河原町に2店舗目、錦市場に3店舗目を開いたが、いずれもステーキ丼ではなく、前者が「すき焼き」、後者が「肉寿司」で、「佰食屋」ののれんで、それらの専門店をできるポテンシャルを従業員が持っていたからだという。

   また京都駅にある百貨店の食品売り場で、弁当販売を始めたことを「既存の従業員だけで労働時間を増やさず販路拡大」した例としてあげた。

   今後は、独立を希望する従業員の支援のほか、1日50食を売り切る「佰食屋1/2」のフランチャイズ化を計画中。「佰食屋1/2」は、午前10時から午後4時までの6時間勤務で、50食を売り上げたら1日の売り上げが5万円になる。月25日間営業すれば、原材料費や家賃、光熱費、水道料などの必要経費を差し引いて50万円ほどが報酬だ。

   中村さんは「佰食屋1/2」について、「いまの世の中に求められているビジネスモデルだと思う」という。すでにこの6月、京都市内に直営の「佰食屋1/2」をオープン。加盟者の研修場所にも利用する。

   「これ以上は売らない」「これ以上働かない」を「人生100年時代の働き方モデル」の「最適解」と中村さん。少なくともヒントになることは間違いなさそうだ。

「売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放」
中村朱美著
ライツ社
税別1500円

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