アドフラウドが収入源か
サーバー追跡から転じた広告ルートからの解明も、海賊版サイトだけに、取材相手となる代理店もクライアントも一筋縄ではいかない。しかし、この広告ルートを追う過程で、「漫画村」のサイトでは、その裏側でとでもいうか、見えないところで大手企業の広告が読み込まれていることが判明する。広告費をかすめとる不正な「アドフラウド(広告不正)」だ。「漫画村」の主要収入源だった可能性がある。
取材班は広告配信事業者に接触を重ね、このアドフラウドに使われていた裏側のサイトへの広告配信が18年4月上旬に停止。その直後に「漫画村」サイトへの接続ができなくなった。
19年2月に電通が発表した「2018 日本の広告費」によると、18年のインターネット広告費は1兆7589億円で、前年比16.5%増だった。地上波、衛星を合わせた「テレビ」は前年比1.8減の1兆9123億円だった。インターネットと地上波テレビの差は259億円。こうした動きから、電通では、インターネット広告は19年に「地上波テレビを追い抜くだろう」と予想している。一方で、ネットでは不正を仕掛けるのが容易なだけに、アドフラウドの増加が懸念されている。
「暴走するネット広告 1兆8000億円市場の落とし穴」
NHK取材班著
NHK出版
税別800円