客も従業員も「犯罪」と知らずに対応している
J-CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に、UAゼンセン企画・情報局の広報担当・鈴木伸司さんはこう説明した。
「悪質クレームの中には、犯罪行為または犯罪行為に近いものがあります。クレームをする側も、自らの行為が犯罪になる可能性があることを知らずに行動している場合があり、従業員側も犯罪行為とは知らずに対応している場合があります。映像によって犯罪となるクレーム行為を分かりやすく伝えることで、悪質クレームをしない、悪質クレームを許さないという認識を共有したいと考えて作りました」
UAゼンセンが2017年11月に発表した「悪質クレーム(迷惑行為)調査」によると、悪質クレームの経験者は74%に達している。中には、明らかに「暴行」「脅迫」「強要」「業務威力妨害」などの犯罪行為にあたるものもあり、被害を受けた従業員の中には精神疾患を患わった者もいる。たとえば、こんな行為だ。
「商品の場所まで案内し、手で指して伝えると、『なんだ、その態度は。名前は何というんだ!』と胸ぐらをつかんだ」
「何が気に障ったのか、レジでいきなり『ぶっ殺すぞ!』と怒鳴り、『釣りを出せ!』と、レジを壊しそうな勢いでガンガン叩いた』
「購入した包丁の切れ味が悪いとのことで、包丁をむき出しにして店員の顔に近づけた」
「不良商品の交換の時に『交通費と迷惑料を出せ』と要求されて断ると、『生活できない体にしてやる!』『土下座しろ!』と脅した」
「『商品にカビが生えている』という指摘に、お詫びして返金を申し出ると、納得せず、店員を5時間立ちっぱなしにして説教した」
「女性従業員が、商品の場所に案内をしたら、後ろからお尻をさわられた」
「女性従業員の体にさわる客がいたので男性従業員が止めに入ると、怒り始めた。110番通報し警察で厳重注意をすると、逆ギレされ、通報した従業員の実名をあげてネット掲示板に誹謗中傷する内容を書かれた」
などだ。