例外措置を設けている国も多いのに......
一概にレジ袋に対する規制と言っても、有料化のほかにもさまざまな方法が考えられる。たとえば、マイバッグの配布、レジ袋辞退者へのポイント加算などだ。環境省の「2016年度 レジ袋に係る調査」によると、すべての都道府県で地域連携などによりレジ袋の削減が実施されているが、そのうち有料化を実施している自治体は、じつは約7割もある。
環境省の中央環境審議会の「自治体と小売事業者のレジ袋有料化の協定の締結状況」によると、スーパーマーケットで約69%、ドラッグストアで約59%が協定を締結している一方で、百貨店は約15%、コンビニエンスストアは約3%にとどまっている。
また、各自治体や協会などが行っている調査結果では、レジ袋を使わなくなるのは有料化で、おおむね90%程度、レジ袋代のキャッシュバックで50%程度、ポイントの付与で40%程度、マイバック利用は30%t程度となっている。
こうした背景から、2019年3月 26 日に出された環境省中央環境審議会の答申「プラスチックの資源循環を総合的に推進するための戦略」には、「レジ袋の有料化義務化(無料配布禁止等)」が盛り込まれた。
しかし、レジ袋の有料化には少なくない課題も残されている。第一に、レジ袋の製造業者にとっては確実に経営悪化につながり、事業の継続すら危ぶまれることだ。
またレジ袋以外でも、たとえば紙製や布製の袋の強度を高めるためにプラスチックを使用していたり、袋の外側をプラスチックの袋で包装していたりするものなどを、どのような扱いにするのか。
あるいは、レジ袋を有料化することで、これまでレジ袋を無料で配布していた小売業者などではレジ袋のコスト分が利益となるが、この利益をたとえばレジ袋以外の海洋廃プラ除去の資金に転用するなど、どのように扱っていくのかという点も見逃せない。
現場は問題山積だが、海外ではレジ袋を規制している各国でも、例外措置を設けている国は多い。「モノには順序」ということもある。安倍首相は、いとも簡単に海洋廃プラを「2050年までにゼロにする」と宣言したが、当事者にとっては「そんなに簡単にいうな」と、恨めしげだ。(鷲尾香一)