2019年6月28、29日に大阪で開催された日本では初めてのG20(20か国・地域)首脳会議。安倍晋三首相の意気込みは空回りし、特筆すべき成果もあげられなかったものの、唯一の成果らしきものと言えば、国際的に問題となっている海洋のプラスチックごみ(廃プラ)を「2050年までにゼロにする」目標を導入することで一致した点だろう。
だが、議長国だった日本は、果たしてこの目標を達成することができるのだろうか――。
レジ袋の有料化、小売業界の足並みそろわず
廃プラは、毎年少なくとも900万トン近くが海に流出し、海洋生物や地球環境にとって深刻な影響を与えているとみられる。
安倍首相は、
「日本の知見を生かして、途上国の適切な廃棄物の管理などに貢献していく」
と高らかに宣言した。
廃プラの主要ごみであるレジ袋は、廃棄物資源循環学会の2017~18年の調査結果によると、一人当たりの使用枚数は年間約150枚となっている。レジ袋については、世界60か国以上で規制が導入されており、日本でも、これまで何度も規制が検討されてきているが、未だに事業者の自主的な取り組みに委ねられているのが実態だ。
2000年に制定された循環型社会形成推進基本法では、リデュース、リユース、リサイクルの「3R」で循環型社会を目指した取り組みを進めることが打ち出された。そして、2006年の「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(容器包装リサイクル法)の見直しでは、レジ袋に対する規制が取り上げられた。
その内容は、レジ袋などの容器包装を多く用いる小売業者は、国が定める判断の基準により、容器包装の使用合理化のための目標を設定したうえで具体的に取り組み、容器包装を年間50トン以上用いる小売業者(容器包装多量利用事業者)には毎年、リデュース対策の取り組み状況や削減効果などを国に対して報告することを義務付け、取り組みが不十分な事業者に対しては改善を促すことになった。
また、この時にはレジ袋の有料化に対する検討も行われたが、小売業界の足並みが揃わなかったことなどから、有料化は見送られた経緯がある。