「連結表」で記録を残す
(2)匿名化と臨時研究員
個人情報であっても、しっかりとした匿名加工を行ったり、統計データ(グラフや表など)の形にしたりしたものは施設の外に持ち出すことができます。
しかし、患者さんの情報を集める際には、匿名化した後データに不備があった場合に備え、一般的には匿名化した患者さんの元の情報を調べることができるように、患者情報と匿名化情報を照合するための「連結表」を作ります。つまり、患者さんの「111」というID番号を「AAA」という研究用の番号に変更した場合にはAAA→111である、という記録を残しておく、ということです。
この連結表は、たとえば患者さんから「やっぱりデータの提供をやめたい」という、いわゆる同意の撤回が合った場合、それに対処するためにも必要です。その患者さんの情報がどれかがわからなければデータを消すことができないからです。
個人情報保護法の改正以降は、この連結表が提供元の病院内にある限り、その情報は匿名化されていない、とみなされることになりました。これによって施設にとって匿名化すること自体が困難となっています。しかし、昨今のデータは、たとえはファイル名に病院名や病院IDがついていたり、画面の隅の方に患者名が入っていたりと、匿名加工は必ずしも簡単ではありません。
一方で、たとえば電子カルテのデータは治療にあたる病院スタッフの全員が閲覧することもできます。
つまり施設内の人間であれば、病院の定めた利用目的の範囲内でその個人情報を取り扱うことは許されているということです。そこで、一施設の情報だけであれば、むしろ外部の研究員を施設に雇う、という方法がとられることもあります。