アイドルの「賞味期限」はジャニー氏も未踏の領域
マネージャー経験があり、かつ滝沢氏よりも年長者であるジュリー氏が、余計な口出しせずに、ジャニー氏が認めた後継滝沢氏を育成・プロデュースに専念させることができるか否かが、今後のジャニーズ事務所の発展如何には大きく関わってくるように思います。
もう一つの問題、アイドルビジネス成熟期からの新たな舵取りは、さらなる難題であるかもしれません。「稼ぎ頭」たちが軒並み結成15年を超える現状は、製造業で言うところの製品ライフサイクルを見誤った結果であるとも言えます。
相次ぐ解散や脱退、活動休止、不祥事の発生は、商品である各グループが「金の成る木」から「負け犬」へ移行したということの証であり、天才がその希に見る才で繋ぎ止めてきた各商品ライフサイクルの終焉に向かう進行は、もはや止められない状況になっていくことでしょう。
すなわち、適正な商品としてのアイドルグループのライフサイクル再定義と、それに従った適切な旧グループの幕引きと新グループの市場投入という流れを、いかに作り上げていくのか。その点はジャニー氏も未踏の領域であり、後継体制づくりなど問題にならないほど、時間と労力を要する大きな課題となるでしょう。
これがうまくいかなければ、ジャニーズ事務所は天才の逝去とともに徐々に消え去る運命にあるかもしれません。後継社長となるジュリー喜多川氏には、天才創業者の跡を継ぐということは、業界を問わず企業経営にとって「最大の難問」であるということを肝に銘じた経営姿勢が求められることだけは確かです。(大関暁夫)