英国の長閑な田舎からアジアのビジネスセンターへ
かねてから英国のEU離脱推進派としても知られるダイソン氏は、ダイソン社の本部を英国からシンガポールに移管する方針を表明しています。
もともとプロダクトデザイナーから身を起こしたジェームズ・ダイソン氏。紙パック不要のサイクロン式掃除機や羽のない扇風機に代表されるように、常識にとらわれない「発明」で、人々の暮らしを変えてきました。今でも商品開発に深く関わっているといわれていますが、英国を代表するサクセスストーリーの主人公として、カリスマ的な人気を博しています。
これまでダイソン社は、創業の地でもあるイギリスのコッツウォルズにある小都市マルムズベリーに本社や研究所などを置いていました。マルムズベリーは長閑な田園風景が広がる田舎の地。英国駐在時に、ダイソン社の新商品発表会には同僚がロンドンからヘリコプターで駆けつけていたことを思い出しました。
ダイソン氏は、本社の移転に伴ってシンガポールに新居を移すのではないかとも報じられています。いずれにしても、超豪華なお引っ越しになることは間違いなさそうです。
それでは、「今週のニュースな英語」は、「snap up」を取り上げます。「スナップ」は耳慣れたことばですが、「指をパチンとならす」「パクッと飛びつく」「さっさと奪い取る」といったイメージを伝える場面で応用できます。
Don't snap up a bargain.
(バーゲン品に飛びつかないで!)
Early birds snap up the best buys.
(早く来るお客が一番のお買い得品をさらっていく)
This movie has been snapped up at a box office.
(この映画のチケットは飛ぶように売れている)
ダイソン氏の「サクッと現金払い」で購入した豪華ペントハウスがお買い得品かどうかは、今後のダイソン社の業績によって評価されることでしょう。英国の田園風景からアジアのビジネスセンターに本拠を移してどんな「新発明」が産まれるのか。ダイソン製品ファンとしては楽しみで仕方ありません。(井津川倫子)