経済番組を徹底分析
著者の下矢一良(しもや・いちろう)さんは、テレビ東京の経済報道番組「ガイアの夜明け」や「ワールドビジネスサテライト」で、長くディレクターを務めた経験を持つマーケティングコンサルタント。大学が理工系ということもあり、分析好きの気質から、経済番組の徹底分析に取り組んできた。放送枠は毎週ある。番組で企業を紹介するには商品の高性能やサービスの革新性だけでは埋められるものではない。しかし何か基準があるはず。でも誰も明確な言葉で定義していなかった。それが分析を始めるきっかけだ。
先輩ディレクターから聴取のため、その泊まり勤務に合わせて深夜まで残業。対象は「自社」にとどまらず、NHKと民放他局の経済系番組を録画して研究を行った。社内での取材、録画分析などで1か月に5日は会社で徹夜作業を行い、休日は「1日あればいいほう」。そんな生活を続けて3年ほどすごしたころに、ひとつの法則が浮かびあがる。それが「テレビに何度も出て成長し続ける企業には、共通の特徴があるということ。共通の型の『ストーリー』を持っているということ」だったのだ。
ソニーやパナソニック、ホンダなど、いまでは日本を代表するようになった大企業でも、語り継がれているのは中小企業だった当時の「ストーリー」だ。