武田薬品工業の株式を、2018年10月に購入した。その株主総会が、19年6月27日にパシフィコ横浜で開催された。本社を大阪市に構える同社。今回の株主総会は、6月28~29日のG20大阪サミットの開催を受けての「例外的な措置」とのことだった。
ふだんマスコミ報道以外にニュースソースを持たない個人投資家にとって、株主総会は経営者の考え方を直接見聞きでき、株式投資をするうえで、判断材料を得る貴重な場と考えている。
開発中の新薬、18の候補が臨床試験後期ステージに
株主総会前のマスコミ報道では、今回も活発な議論が交わされるように予想されたが、今年1月にアイルランドに本社を置く、希少疾患の薬品を製造・販売するバイオベンチャーのシャイアーとの買収が完了していることもあり、当日の議事運営はスムーズに進行した。
武田薬品の次の課題である、(1)新薬開発問題と(2)有利子負債問題への取り組みについて、正面スクリーンを使って説明された。
(1) 新薬開発問題
5つの主要ビジネスエリア(消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー=がん、ニューロサイエンス=神経精神疾患)の、14の革新的医薬品が今後の成長をけん引するとの趣旨の説明がなされた。
また中長期の成長のカギを握る、開発中の新薬候補については、臨床試験後期ステージに18の新薬候補物質があるとされ、詳細が明らかになるのもそう遠くなさそう。
懸案だった大型薬の特許切れ問題は、今期で山を越す見込みとの説明もなされた。
(2) 有利子負債返却への取り組み
株主総会の資料に、「統合による大幅なコスト相乗効果と継続的なコスト削減により、当社は業界トップクラスの利益率の達成を見込んでいます」とある。その具体策として、「5月初旬に発表したドライアイの兆候・症状の治療薬『Xiidra』、および手術用パッチ剤『TachoSil』をはじめとしたノンコア(非中核)の資産売却を進める」という。
つまり、統合によるコスト相乗効果と非中核品をはじめとした資産売却、並びに5つの主要ビジネスエリアと成長の見込まれる領域(新薬開発を含む)への投資の両面から、5兆円ともいわれる有利子負債を短期間で減らしていくということのようだ。
よほどのことがない限り3800円は下回らない
新薬開発が難しい状況で、大型新薬の特許切れによる業績低迷を余儀なくされた武田薬品工業が生き残りをかけて、それまで総花的であった新薬開発分野の重点領域を絞ったこと。また大型のM&A(企業の買収・合併)案件であるシャイアーの買収で、希少疾患、血漿分画製剤とワクチンを取得したことの期待は小さくない。
シャイアーの買収により、これまで弱かった最大市場の米国での販売ルートを入手したことで、世界の製薬大手と渡り合えるポジションである「ビッグファーマ」入りを果たした。
こうして考えると、これまでの武田薬品の施策は、評価してよいと、意を強くした。
武田薬品株を最初に購入したのは2018年10月11日、4440円で100株。次いで同年12月25日に3650円で100株を追加。そして、今年の株主総会で得た情報も加味して、7月2日、さらに3850円で100株買い増した。
シャイアーの買収問題がひと段落して、株主総会も無事終了した今、残された課題解決に向かうなか、3800円を大きく下回ることは、よほどのことがない限り、考えにくいと判断。7月2日に買い増した。
この判断が正しかったかどうかは、今後の株価の推移が示してくれるが、正しければ株価は上昇、誤っていれば株価は下がる。これが株式投資の妙味と考えている。 まさに自己責任なのだ。
2019年7月10日現在 保有300株 (平均取得単価4014円59銭)
年初来高値 2019/3/4 4822円00銭
年初来安値 2019/6/3 3568円00銭
直近 終値 2019/7/10 3862円00銭