英国は内閣だけでは解散できないようにした
ところで、憲法上、そもそも解散権は誰のものかについての定説はないが、それは「内閣」にあるというのが政府の解釈だ。そうなら、首相個人にあるわけではないようだが、実際は違う。
首相以外の閣僚が1人、解散に反対しても、解散は可能である。その閣僚をクビにして、首相が兼務すればいい。極端な話、首相以外の全閣僚が反対しても、首相はみんなをクビにし、すべてを兼務して解散することもできる。
場合によっては、国民の信を問うために、任期途中での衆院解散は必要だろう。だが、生殺与奪の大権を首相個人に持たせるのとは別の話である。
現に英国では、2011年に「議会任期固定法」が制定され、解散には内閣の意思だけではなく、下院の承認も必要になった。わが国でも首相の専権事項に対して何らかの「歯止め」を掛けるべき時期に来ているように思う。
そうでなければ、2017年9月の安倍首相による「国難突破解散」のように、いったい何が国難なのか、世論調査で多くの人が首を傾げたような解散が、今後もまかり通ってしまうのではないだろうか。(岩城元)