その91 首相の「専権事項」とされる「解散権」「こんなものいらない!?」(岩城元)

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英国は内閣だけでは解散できないようにした

   ところで、憲法上、そもそも解散権は誰のものかについての定説はないが、それは「内閣」にあるというのが政府の解釈だ。そうなら、首相個人にあるわけではないようだが、実際は違う。

   首相以外の閣僚が1人、解散に反対しても、解散は可能である。その閣僚をクビにして、首相が兼務すればいい。極端な話、首相以外の全閣僚が反対しても、首相はみんなをクビにし、すべてを兼務して解散することもできる。

   場合によっては、国民の信を問うために、任期途中での衆院解散は必要だろう。だが、生殺与奪の大権を首相個人に持たせるのとは別の話である。

   現に英国では、2011年に「議会任期固定法」が制定され、解散には内閣の意思だけではなく、下院の承認も必要になった。わが国でも首相の専権事項に対して何らかの「歯止め」を掛けるべき時期に来ているように思う。

   そうでなければ、2017年9月の安倍首相による「国難突破解散」のように、いったい何が国難なのか、世論調査で多くの人が首を傾げたような解散が、今後もまかり通ってしまうのではないだろうか。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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