米中貿易摩擦がひとまず小康状態に入り、投資家の過度な不安心理が後退している。一方、米国では6月の雇用統計が一定程度の改善がみられたものの、米公開市場委員会(FOMC)の7月利下げの可能性は消えていない。
国内では2019年7月5日に参院選が公示され、選挙戦に突入した。政治家の「リップサービス」が出やすく、材料視されやすくなるので、要注意。
どうなる? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 米中通商協議の継続で不安心理は後退
日経平均株価予想レンジ:2万1500万円~2万2000円
2019年6月28日(金)終値 2万1746円38銭
今週の日経平均株価は、底固い動きとなりそうだ。2万2000円台回復を試す動きが出る可能性もある。
前週、日経平均株価は上昇。週間ベースでは5週連続での上昇となった。6月29日に行われた米中首脳会談で通商協議の継続で合意したこと、米国が新たな対中制裁関税を発動しないことを好感した。
加えて、OPEC(石油輸出国機構)が減産を延長したことで、原油相場が上昇。つれて、米ニューヨーク株式市場が上昇したことも日経平均株価の下支え材料となった。
米中の通商協議が継続されることになり、株式市場の不安心理が後退しているため、今週の日経平均株価は底固い動きとなりそうだ。
加えて、外国為替市場でドル円相場が円安に振れていることあり、日経平均株価は2万2000円台の回復を試す動きが出る可能性もある。
ただ、今週も米中通商協議に進展が見られなければ、再び不安材料として浮上してくる可能性があり注意は必要だろう。また、国内では参議院選挙の期間に入ったことで、政治家の「リップサービス」が出やすく、国内では売り材料が出にくくなることもプラス要因となりそうだ。
東京外国為替市場 米利下げ期待が後退
ドル・円予想レンジ:1ドル=107円50銭~109円50銭
2019年6月28日(金)終値 1ドル=108円45銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、もみあい相場のなか、ドルが底固い動きとなりそうだ。
前週の外国為替市場でドル円相場は、ドルが強含みの動きとなった。米中首脳会談で通商協議の継続で合意したこと、米国が新たな対中制裁関税を発動しないことを好感してリスク回避のドル売りが縮小した。
加えて、6月の米雇用統計が市場予想を上回る結果となったことで、米国の利下げ期待感が後退。リスク選好のドル買い・円売りが活発となった。
今週のドル円相場は、10~11日に行われるパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言が注目される。6月の米雇用統計は改善したが、米国が7月30~31日のFOMC(米公開市場委員会)で利下げを実施するとの見方が優勢。パウエル議長での議会証言の内容次第では、為替相場が大きく動く可能性がある。
ただ、米国が利下げに踏み出しても、日本銀行、ECB(欧州中央銀行)ともに金融緩和策の強化に動くとの見方が強まっていることから、リスク回避のドル売りは限定的なものにとどまりそうだ。
経済指標は、国内では8日に5月の国際収支、5月の機械受注、6月の景気ウォッチャー調査、7月の地域経済報告(さくらリポート)、日銀支店長会議がある。9日には、5月の毎月勤労統計調査、6月の工作機械受注などが予定されている。
海外では、10日に米国でパウエルFRB議長の米下院金融委員会での議会証言、FOMC議事録要旨、中国の6月消費者物価と生産者物価、11日には米国の6月消費者物価、12日は米国の6月生産者物価、中国では6月の貿易収支などの発表が予定されている。
(鷲尾香一)