6月以降、米中貿易摩擦に加えて、ホルムズ海峡をめぐるイラン・米国問題、トランプ米大統領の発言に端を発した日米安全保障問題に、G20大阪サミット、政治・経済がらみの問題が山積みとなっている。
外国為替市場は、リスクオフ(投資家がリスクを回避して、より安全な資産に資金が向かいやすい状況)を受けて円高が進行。年初のフラッシュクラッシュ以来の円高ドル安水準となっている。
時価総額1000億円超の大型IPO案件
【Sansan(4443)】
6月28日現在、「買い」を検討中。
年初来高値(2019年7月2日) 5930円
年初来安値(2019年6月19日) 4730円
2019年6月28日終値 5680円
2019年6月19日に東証マザーズ市場に上場した「SanSan」。時価総額は1000憶円超えと、大型のIPO(株式公開)案件となった。Sansanは、クラウド名刺管理サービスを提供。また、サブスクリプション銘柄としても注目されている。
サブスクリプションとは、顧客がサービスや商品の利用期間に応じて料金を支払う方式で、不況期にも比較的安定した収益が期待でき、投資家に人気のビジネスモデルだ。
さて、時価総額1000憶円超のIPOということで、いったい利益はどれほどなのかと業績が気になるが、Sansanの2018年11月期の当期純利益は、約33億円の最終赤字だった。そのワケは、テレビCMなどを中心とした多額の広告宣伝費を計上していたため。東証マザーズ上場前の評判でも、最終赤字のため、公募割れの声も多かったがIPO当日はストップ高を付けるかたちとなった。
赤字なのになぜ買われるのか?
Sansanはなぜ、IPO当日にストップ高を付けるまで買われたのだろうか――。それは、サブスクリプション・Saas銘柄特有の利益構造にある。Sansanのような「サブスク銘柄」は、他の銘柄と比べて利益率が非常に高い。また、サブスクリプションは一度契約をしたら解約しにくい傾向があり、季節変動の少ない安定した収益を得られることから、広告費などの先行投資を行うことが多いとされる。
このような利益率や安定した収益が見込めるサブスク銘柄は「PSR」(株価売上高倍率=時価総額÷年間売り上げで算出。PSRが低いほど、株価が割安と判断)を使用して割高感・割安感をみることが多く、このPSRでみると、Sansanのそれは世界的な平均値10~12倍とほぼ変わらないことがわかる。IPO当日は、このPSRからさほど割高感はないと判断した投資家が「買い」で参戦したのかもしれないと考えた。
今回、大型IPOで市場をにぎわせたSansanだが、一方で日経平均株価が乱高下しているため、なかなか「買い」での参加は難しそう。また、ベンチャーキャピタル(VC)も将来的には売ってくる可能性が高いので、しばらく様子見することにした。
成長性を見ても、とても優良銘柄だと思うので、急落などがあった場合は即座に「買い」で入りたい。
【株式取引ルール】
・月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。
・投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
・1年間のトータルで損益を競います。
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