プロ社長と創業家の「痛み分け」のはずが......
瀬戸氏の再登板への意欲に対しては、米国の有力議決権助言会社2社が「反対」との判断を明言していました。創業家の潮田氏と、経営者としてうまくやれなかった責任。同時に、前期の大幅赤字の責任。これは潮田氏、瀬戸氏の二人が同じように、真摯に負うべき経営責任であるはずだからです。
自らの個人的な感情で経営改善の論点を濁してしまう。これでは瀬戸氏のどこがプロ経営者なのか、私から見れば笑わせるなと言いたいほどです。
企業トップは、企業の運営に対して全面的な責任を負うわけで、その判断は私情ではなく企業経営優先で考えるのが筋です。理由や経緯はどうあれ、オーナー家と雇われのプロ社長が、経営者同士の意見が対立して社長が更迭されるというようなスキャンダラスな問題が発生したことで、企業イメージの低下、組織運営に対する不安感を招いたことは明らかです。
ならばこれは、それにかかわった経営者自身がしっかりと責任を負うべき事象であるのです。
すなわち今回の問題は、瀬戸氏が解任され、投資家からの要求を受けて潮田氏が退任した段階で、ジ・エンドとすべき問題であったと考えます。
瀬戸氏が、仮に組織生え抜きのサラリーマン経営者の出来事でもあったのならば、事の展開で復帰に意欲を見せることにまだ若干の正当性が認められるでしょう。しかし、プロ経営者として雇われ理由はどうあれ雇われ主から退任を求められて一度は潔く決めた身であるなら、例え誰に請われようとも復讐戦的なトップ返り咲きはあり得ないと思うところです。