「仕事中まで子育てをして母親の負担ばかり増える」
一方、「自分が子連れ出勤することも、同僚として一緒に働くことにも反対」と、全面的に否定的な人の意見はこうだ。
「子どもの騒ぐ声で集中できない。走り回り、ケガでもされたら困る。子連れ出勤を奨励するのではなく、在宅勤務を取り入れるなど、子育てしながらキャリアを継続させるいろいろな方法を議論するべきだ」(50代:いる)
「とても人懐っこい元気な子を連れてくる人がいた。ある男性が最初は可愛がっていたが、忙しい時にもまとわりついて離れないので、その子に怒り、母親と気まずい関係になってしまった」(40代:いない)
「仕事中まで子育てしなきゃいけなくなり、母親の負担ばかり増える。それを美化する風潮にならないか心配だ」(40代:いる)
「職場には子どもが嫌いな人、欲しくてもできなかった人、不妊治療中の人もいるだろう。そういう人に配慮はないのか」(50代:いない)
などと、反対であっても必ずしも意地悪ということではなく、職場のあるべき姿や、親やこどもへの負担を考慮した意見が目立った。
「どうしようもない事情があるのなら温かく見守ろう」
そして、一番多いのが「自分は子連れ出勤することに遠慮はあるが、同僚がするなら応援したい」というエールを送る意見だ。
「実際子連れで働き、とても大変だった。他の人に気を使って集中できなかった。同僚の子どもなら和やかにできるし、応援したい」(30代:いる)
「子供を通勤電車に乗せ、外遊びが出来ない環境に置くのは抵抗がある。私自身は嫌だが、同僚が納得の上で連れて来るのであれば、否定はしない」(40代:いる)
「基本的に職場に連れて来るべきではないと思うが、子育てにはさまざまな事情が生じる。どうする事もできずに連れてきたのなら、周りは温かい目で見守ってあげるべきだ」(50代:いる)
つまり、自分が子連れ出勤するのは周囲に申し訳ないが、やむをえない事情が同僚にあるのなら温かく見守りたいというわけだ。
J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、調査をまとめた、しゅふJOB総研の川上敬太郎所長に取材した。
――子連れ出勤の賛否を聞くと、「賛成」「反対」が見事に二分される難しい問題ですね。しかし、自分が子連れ出勤する立場より、同僚としての立場のほうに賛成の割合が高いのは、「困っている時は相身互い」という寛容の意識が強いということでしょうか。
川上敬太郎さん「子連れ出勤にはメリットがある一方で、たくさんのデメリットがあります。メリットよりデメリットのほうがイメージしやすいものです。子どもが周囲に迷惑をかけたり、子どもに何かアクシデントが起こったり、といったことをイメージすると、子連れ出勤する大変さが見えてきます。
だから自分は子連れ出勤したくはないと思う。それでも子連れ出勤する人がいたら、そこまでしなければならない事情を察して、『お互い様』と協力してあげようという気持ちになる人が多いのではないでしょうか。また、寄せられたフリーコメントを読むと、ご自身には子どもがいないものの、『子どもは社会で育てるもの』という考えの人も多くいました。
一方で、子連れ出勤の経験があっても、子連れ出勤に反対だと答えている人もいます。育児しながら働きたいと考える女性が増える一方で、保育施設はニーズに応えきれておらず、子どもの預け先がないために致し方なく子連れ出勤する不本意型子連れ出勤者がかなりいると思います」