夏休みの朝、小学校や近所の公園に集まっては「ラジオ体操」でカラダを動かしていた。そんな思い出がある人は少なくないはず。その一方で、日ごろの運動不足を実感していながら、「いったい何から始めていいのか......」という人も多い。
そうしたなか、「ラジオ体操」に着目。日本航空(JAL)が「本気のラジオ体操」を健康経営に取り入れた。
2019年6月20日、そんなJALの取り組みを世耕弘成経済産業相と「明るい社会保障改革研究会」顧問で自民党の加藤勝信総務会長らが視察。どこかぎこちなくも、植木義晴会長や藤田直志副社長兼CWO(Chief Wellness Officer=健康経営責任者)、客室乗務員(キャビンアテンダント=CA)とともに頑張った。
「健康経営」で医療費の20%低減を実現
JALは、安全運航と最高のサービスの提供、また企業理念である「全社員の物心両面の幸福」を実現するため、社員の心身の健康維持に取り組んでいる。
「生活習慣病」「がん」「メンタルへルス」「たばこ対策」「女性の健康」の5つを重点項目とするJALグループ健康推進プロジェクト「JAL Wellness 2020」を策定し、社員とその家族、会社、健康保険組合が一体となって健康づくりに取り組むことを宣言した。
3万3000人を超す全社員に「My Book」を配布。CAをはじめ、多くの女性社員を抱えているだけに、全女性社員向けには「Women's Health Guide」も用意した。社員の乳がんサバイバーの生の声による、乳がん検診の呼びかけコンテンツなども紹介している。
健康経営のための組織体制を構築した。「日ごろからビル内の移動は階段を使う」という副社長の藤田直志CWO(健康経営責任者)を議長に、役員メンバーで構成する「JALウエルネス推進委員会」を設置。一方で職場ごとでは各部門長と300人の「ウエルネスリーダー」を旗振り役とし、トップダウンとボトムアップの両面から健康経営を推進する体制を整えた。
JALによると、こうしたさまざまな取り組みによって、JALの1人当たりの医療費は、1人当たりの国民医療費と比べて20%低く抑えられているそうだ。