「日本の本気度を目に見える形で示さなくては」
それにしてもなぜこの時期に、これほど批判が多い対抗措置に打って出たのだろうか。毎日新聞によると、政府は昨年(2018年)10月に韓国最高裁から賠償命令の判決を受けた直後から水面下で準備に入っていたという。
「半導体材料の輸出制限や、安全保障上の友好国である『ホワイト国』から韓国を除外する検討を進めていた。今年2月の自民党外交部会では外務省幹部が『経済産業省とも協議して検討する』と明言していた。ただ、実際に発動すれば、日韓両国の経済に悪影響を与え、日本政府がG20で訴えた『自由貿易の推進』との矛盾を指摘されかねない」
そこで、政府は6月のG20まで韓国政府の対応を待つことにした。しかし、韓国の動きは鈍かった。日本企業の資産の売却(現金化)が迫り、「実害が迫る前に動く必要があった」というのだ、本丸の「対抗措置」として関税引き上げ、送金停止、ビザ(査証)発給の厳格化なども検討された。しかし、半導体の原材料の3品目に絞ったほうが「最小の手段で最大の打撃を韓国企業に与えることができる」と判断したようだ。
読売新聞によると、
「政府関係のごく一部で(規制の)対象品目の絞り込みが行なわれ、最終案は5月中にほぼ固まっていた。G20での日韓首脳会談が見送られたことが引き金になった。日本企業や、国際的な製造網への影響を懸念する見方もあったが、最後は官邸や周辺議員の強い意向が働いた。韓国側は依然として問題の深刻さを理解していない。日本の本気度を目に見える形で示そうとした」
という。
参議院選挙対策の側面を指摘するのが朝日新聞だ。
「4日に参院選の公示を控える政権としては、この問題に毅然とした対応を示す狙いもあり、G20閉幕の直後に対抗措置を打ち出した」