持ち帰り残業は、きちんと「証拠」を残す
でも、やらなくてはならない仕事が残っているもかかわらず、「帰れ!」と追い出された場合、いわゆる「持ち帰り残業」になってしまう可能性があります。
残っている仕事を、先送りして困るのは自分です。そうなれば、持ち帰ってでも仕事を片づけようとするのが社員。それがひいては会社のためになると信じているからです。
残っている仕事を持ち帰ってでも片づけようとする気持ちはよくわかります。しかし、現在の判例上、「持ち帰り残業」については基本的に労働時間とは認められていないのが現状です。
ただ、どうしてもこの業務は持ち帰ってでもやらないと、会社の利益を損なってしまう可能性があるといった事情を上司が認識しておらず、会社に不利益が発生してしまうような状況となり、どうしてもやむを得ない場合には、
(1)上司から事前に承認を得ておく
(2)上司が不在の際には、持ち帰って残業した時間とその業務内容を記載した日報を作成して事後報告する
など、労働時間と認められやすいような対応策を講じておくべきでしょう。
ところで、勝手に残業することによってかかる電気代などの経費はどうなるのでしょう。
残念ながら、労働時間と認められない残業については、社員が会社の事務所などを許可なく使用したといえなくはないので、かかる電気代などの経費を残業した社員に請求されてしまう可能性が出てきます。そうならないためにも、残業する際には、きちんと上司の許可を取ることを心がけるようにしましょう。
◆ 北川雄士先生のひと言 ◆
残業時間は、就業規則で労働時間の管理・認定方法などをきちんと規定し、それを社員に周知徹底されているかがポイントです。
一般に、残業は原則として事前の文書による申請や時間管理票などに基づく場合を「残業」と定めたり、事後的にも残業内容についての報告を義務づけたりといった手続きを経て行うようになっています。
会社によっては、上司(管理職)が部下の残業が終わるまで帰らないことがあるのは、そのためです。上司の目が届かない時間に残業した場合、労働時間と認めないといわれないように必ず記録しておきましょう。
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