進まない教育現場への民間人の登用
さて、若干視点を変えてみたい。安倍晋三首相の政権下では、女性と高齢者の活用、働き方改革などで、女性の社会進出を打ち出しているが、教職員に女性管理職はどの程度いるのだろうか。
2018年4月1日現在で、女性管理職(校長、副校長および教頭)は1万2170人と前年同期から552人増加し、初めて1万2000人を超えた。その割合は17.5%と過去最高を更新して着実に増加している。
その内訳では、校長が4837人、副校長が1087人、教頭が6346人で、副校長は初めて1000人を、教頭は初めて6000人を超えた。
半面、残念な結果となっているのが、学校・教育現場の改革として注目を集めた教員免許を持たない民間人の登用だ。
2018年4月1日現在で、教員免許はないが「教育に関連した職業」を10年以上経験した人の登用は、校長52人(小学校34人、中学校・義務教育学校10人、高等学校3人、中等教育学校・特別支援学校5人)、副校長では113人となっている。一方、教員免許もなく、「教育に関連した職業」も未経験の純然たる民間人では、校長64人(小学校35人、中学校・義務教育学校10人、高等学校17人、中等教育学校・特別支援学校2人)、副校長ではわずか5人だ。両者を合わせた校長数は116人、副校長数は118人となる。
これは、2016年同期の校長140人、副校長119人、2017年同期の校長123人、副校長115人と比べた場合、副校長数はほぼ同数で横ばい傾向にあるが、校長数は明らかに減少傾向にある。
校長・副校長へのなり手が少ないのか、学校側が門戸を開いていないのかは定かではないが、明らかに民間の力を借りた学校・教育現場の改革が進んでいないといえそうだ。
こうした教職員の実態をみると、精神疾患での休職者数の多さや、依然として体罰やわいせつ行為が行われていること、民間の力による学校・教育現場の改革が進んでいないことがわかる。
子どもたちが健やかに育っていくために、今一度、教育現場のあり方を考えるべきではないか。(鷲尾香一)