体罰への意識低い、50歳以上の男性教員
年代別のデータは以下のとおり。50歳代になると、明らかに病気休職者が増加するが、半面、精神疾患の休職者はどの世代においても、同じ程度の割合となっており、年代に関係なく、精神疾患者が発生していることがわかる。
このように、教職員は精神疾患を患うようなストレスを受けながら、教育の現場に立っている。筆者の友人の中学教師は、「教師と言う職業は本当に大変。よく夏休みが長くていいなどと言われるが、部活動の顧問や研修などで夏休みは、一般の会社員と同じ程度しか取れない。でも、やっぱり子どもが好きだから、この仕事が好きだ」といっている。
そうした半面、懲戒処分または訓告などを受ける教育職員も多い。2017年度は5109人が処分を受けている。これは、2016年度の8038人からは2929人減少しているものの、おおよそ教職員200人に1人の割合で処分されていることになる。
その理由で最も多いのは、意外にも「交通違反・交通事故」の2963人。次いで、児童・生徒への不適切な指導などの「その他」で1025人、世の中の注目度が高い体罰は585人、わいせつ行為は210人となっている。
では、体罰の実態はどうなっているのか――。2017年の体罰発生件数は585件と懲戒処分または訓告などの処分を受けた教職員の人数と同数だが、その内訳は小学校で176件、中学校206件、高等学校189件、中等教育学校と特別支援学校を合わせて13件だった。
しかし、被害を受けた児童数で見た場合には、小学校295人、中学校362人、高等学校369人、中等教育学校と特別支援学校を合わせて18人となり、児童数の合計は1046人となる。つまり、1回の体罰で複数(約2人)の児童が体罰を受けた計算になる。
体罰を行った教職員の男女別では男性が512人に対して、女性は64人と圧倒的に男性教職員からの体罰が多い。年代別では、20歳代71件、30歳代137件、40歳代138件に対して、50歳代以上は239件と圧倒的に多く、年齢層が高いほど体罰を行う傾向があることが見てとれる。これは、学校で体罰が日常的に行われていた世代に近いほど、体罰に対する問題意識が低い表れかもしれない。