1964年、「東洋の魔女」は淡々とプレーした
僕は学生時代から長年、サッカーをやってきたが、同じ「フットボール」であるラグビーに比べると、得点が入った時の喜びようは、サッカーはいささか大げさだ。抱き合うだけではなく、得点した選手が自分なりの「ポーズ」を決めたりしている。その点、ラグビーはトライしても淡々としている。
しかし、1試合に入る得点はサッカーの場合、1点か2点、あるいは、せいぜい3点ということが多い。何十点と入ることがあるラグビーとは違う。身びいきながら、1点が入った時の喜びの爆発は、まあ許せるのではないだろうか。
ふと、1964年の東京オリンピックの女子バレーボールで金メダルを獲得した「東洋の魔女」のことを思い出した。
日本-ソ連(当時)の決勝戦の映像が短い時間だが、ネットにあった。それを見ると、金メダルが決まった瞬間は別として、そのほかの得点場面では抱き合ったりはしていない。得点後、淡々と自分のポジションに戻っている。ソ連の選手も同じである。
今の日本代表チームもこのくらいにしておいたほうが、見た感じはいいと思う。それに、得点を入れても何ごともなかったように振る舞うと、相手チームに与える「威圧感」も生まれてくるのではないだろうか。(岩城元)