暴利と個人情報の二兎を追うヤミ金業者
【事例2】融資をやめたいと伝えたのに、一方的に返済を求められた
SNSの「個人で融資します」という書き込みを見て相手に連絡を取り、60万円の融資を申し込んだ。相手から「まず2万円を銀行口座に振り込む。それをそのままこちらへ振り込んで返してほしい。そこで審査をする」と言われ、銀行口座などの個人情報を伝えてしまった。心配になり、やめたいと伝えると、「すでに1万円を振り込んだ。1週間後に3万円を返すように」と言われた。(2018年7月、20歳代男性)
このケースを飯田さんはこう説明する。
「問題点が2つあります。一つはヤミ金融特有の『押し貸し』という手法です。少額でも口座に振り込んで一方的に貸し付けて、あとから高利を要求する手口です。もう1つは個人情報を入手し、それを脅しの材料にしたり、転売したりする危険性です。個人情報自体が闇の世界では売買の対象になっています。個人間融資では、審査に必要だとして、免許証やパスポートを写メで送らせたり、携帯電話番号や銀行口座を連絡させたりします。何に悪用されるかわかりませんから、絶対に教えてはいけません」
【事例3】融資の保証金を支払ったとたん、連絡が取れなくなった
携帯電話料金の滞納などでお金を借りられるところがなく、SNSで融資を募った。融資する人が現れたので、SNSでやり取りをして100万円を借りることにした。保証金として20万円の融資に対して1万円が必要と言われ、5万円を支払った。その後、相手と連絡がつかなくなった。(2019年2月、20歳代女性)
飯田さんが語る。
「これは典型的な『融資保証金詐欺』です。先に保証金や手数料を振り込ませた後、行方をくらませるもので、一種の振り込め詐欺とも言えるでしょう。SNSの個人間融資は詐欺師の巣窟と思って間違いありません。相手の正体を確かめようがありませんから、最初から信用してはいけません」