米国が金融政策を転換する方針を明らかにしました。
2019年6月19日(水)に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米金融当局は予想以上にはっきりと政策の変更を打ち出してきました。
失業率は史上最低、株価は史上最高レベル
まず、声明文において、これまで政策維持のキーワードとして使われてきた「忍耐強く」という文言が削除され、「(景気拡大を維持するために)適切に行動する」という文言が挿入されました。
これは、6月4日の講演でパウエル議長が使った言葉と同じで、このような言い回しをした場合、その次のFOMCで政策変更を行うケースが、過去に多く見られました。
次に、政策の先行きを示す「ドットチャート」において、8人もの理事が年内の利下げを予想したことです。3月のドットチャートでは、誰一人として利下げ予想がいなかったことを考えると、わずか3か月で大きな変化です。しかも、今回は0.25%の利下げを主張する理事(ブラード・セントルイス連銀総裁)まで現れました。
こうした変化を受けて、市場の7月のFOMCにおける利下げ確率は現時点で100%です。0.25%か、それとも一気に0.5%利下げするか、それだけの違いになっています。昨年12月に利上げした頃には、2019年は3回利上げし、2020年にもう1回というのがコンセンサスだったことを考えると、大きな変化です。
しかし、客観的事実として米国経済は好調です。失業率は3.6%と史上最低レベル、株価は史上最高値近辺でトレードされています。こうした環境下で金融緩和に舵を切ることは、かつてないことであり、従来の常識で言えば「正気の沙汰」ではありません。