能力があるリーダーなのに部下がついてこないワケ?
米国の社会心理学者エミー・カッディー博士によれば、人間は相手の印象を「温かさ」と「能力」の二つの側面に集約して相手を判断し、マジメに従うのかいい加減に従うのか、あるいは従わないのかを決めるのだといいます。
経営者という組織リーダーのことを考える時、「能力」があることはもちろん大切ですが、まとまりのある組織をつくり、求心力を高めていくためにはそれだけでは足りず、「温かさ」が確実に必要になるのです。
そして、先の新店長のように相手に伝わる「温かさ」が足りていない場合、いかに「能力」が高いリーダーであっても、部下がついてこない、離反者が出るといったことを招きかねないのです。
では、「温かさ」とは何か。親身になって相手を想う気持ち、リーダーなら社員の成長や幸福を願う気持ち、顧客接客者ならお客さまの満足を願う気持ちに相違ありません。
たとえば、常日頃の私の経験からは、離職率の高い組織とそうでない組織を比べた場合に、明らかにリーダーの「温かさ」に違いが感じられます。
組織もビジネスも、人と人との関係である限り、「温かさ」を忘れては決してうまくいかないのだということは、真っ先に意識すべきことではないかと思います。はからずも、居酒屋店長が体現してくれた真理です。(大関暁夫)